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すると、トーク画面を消す前に、既読がついた。
【おはよう。良く寝れた？ 今日の夜、ミーティングの後にご飯行かない？ この前北山が好きそうなところ見つけたんだ】
なんだこの甘いラインは。
トークを開いたまま手が固まる。
既読付けっぱのままになってるのは頭の隅で理解していたけど、
それよりもこの短い文章からだだ漏れる優しい雰囲気に心が付いていかなかった。
なぜか画面の向こうの藤ヶ谷がニコニコしている感じがするのは気のせいか。
気のせい…かな。
冷静になって考えてみれば、悲しいかな藤ヶ谷が俺に優しくする理由なんか1つもないわけで。
「いやになる…」
無意識に、口から零れた。
つか。
藤ヶ谷とメシって…
まじか。
このラインみたいな甘い雰囲気になっても、喫煙室での暗い雰囲気になっても、
どっちにしろ耐えられる気がしない。
酒飲まないようにしてできるだけ早く帰ろうと決め、出勤スーツに腕を通して家を出た。
ら。
「…は？」
「おはよう、きたやま」
そこには軽く手を上げる藤ヶ谷がいた。
「は、おまえ、なんで…」
「ん？ いいじゃん、迎えに来てあげたの」
「いや、じゃなくて、つかなんで俺の家知ってる…」
「んー、ひ・み・つ♡」
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作者名：谷山 | 作成日時：2018年10月7日 19時
