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その日の夜、俺は近くの会社に勤める宮田を飯に誘った。
誘ったっつーか、強制的に来させた。
「そっかーがやさんがね」
俺の話を一通り聞いた宮田は、変わらずニコニコしている。
お前こっちはすっげえショック受けてるっつーのによ。まじ一発殴ってやろうか。
「で？ きたみつはどうするの？」
「どうって、俺にできることなんか何もねーだろ」
でも、と宮田は言う。
「きたみつはもう何年もがやさんのこと好きなんでしょ？ これで勝手に失恋して、その数年間なかったことにして、それでいいの？」
「いい、とは思ってないけど。でも。むり。告るとかまじで無理」
「本当に？」
いや無理だろ。
「振られるって分かってるのにいくとか考えらんねえ」
「でもさ、そのがやさんが好きな人がきたみつって可能性はないの？」
「んなもんねーよ。そんな気配さらさらない」
「ふーん、そっか」
宮田はそれ以上俺を諭すことはなかったが、代わりにぐだぐだな俺の話を聞いてくれた。
「俺が藤ヶ谷のこと何年想ってるかなんてさ、あいつは知ったこっちゃねえって。俺もう今回こそは、藤ヶ谷のこと好きでいるのやめるわ」
「きたみつそれ何回目？笑」
「今回はマジ。だって、失恋したも同然じゃん。これまではさ、男同士は生産性ないしとか言ってたけど、でもまだ可能性はゼロじゃなかったじゃん。期待持てたっつーか。でも今回はほんと無理。もうやめる」
そっか… と宮田は微笑んだ。
「きたみつはそれでいい？ 後悔しない？」
少し迷ったが頷くと、分かった、早く傷が良くなるといいね、と笑ってくれた。
「ところでさ、明日土曜日じゃん、暇？ 一緒に行ってほしいところがあるんだよね」
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作者名：谷山 | 作成日時：2018年10月7日 19時
