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ゆっくりとベッドに下ろして、抱えていた手を抜いた。
ベッドサイドに軽く座る。
dt「おやすみ」
ポンポンと頭を撫でて、一旦リビングに戻ろうとした俺の手を翔太に掴まれた。
振り返れば何か言いたげな口元。
dt「翔太?どうした?」
nb「…涼太は、寝ねーの?」
ちらりとこちらを見つめてくる目は、とろりとしていて。
睡魔と戦いながらも誘ってくるのやめてほしい。
dt「あー…、じゃあ、寝ようかな」
俺の言葉を聞いて翔太はベッドの奥にずれた。
何も言わずにそこに寝転べば、掛け布団を雑に引っ張る翔太。
全然ちゃんと掛かってないから掛け直してあげる。
こっち向きで目を閉じる翔太の顔は心なしか満足気だった。
あっという間に聞こえてきた寝息。
目の前の可愛い寝顔を見つめながらお預けを食らっている気分になって、思わず苦笑した。
dt「おやすみ、眠り姫」
むにゅむにゅと動くかわいい口元に軽くキスをして、自分自身も目を閉じる。
一瞬、王子のキスで目覚めてしまった姫が『マジでこいつ王子様みてぇじゃん…』と心の中で呟いた事は、お姫様だけの秘密。
fin.
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作者名:violet | 作成日時:2023年11月17日 18時