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『っ!?お、ぉい!!誰だよお前!!』





停止していた思考が再び機能すると、
逃れようとジタバタと手足を動かす。




チッ__




は?
こいつ舌打ちした?

今、舌打ちしたよな??
人を攫っておいて舌打ち??






『〜っ!!誰かー!!助けっ…!』






大きな声を上げ、助けを乞う。

しかし、
突然 首から伝わる振動によって目の前が霞んだ。





『あ……れ…?』





どんどん視界が暗くなる。
意識も朦朧とし、何も考えられなくなった。


目を閉じる瞬間、
最後に映ったのは碧色の瞳だった____















『…』





そして、
目が覚めた時には既に身に覚えの無い場所に居た。






『…誘拐された…?』





頭の中で危険信号が機能する。


やばい。やばい。
どうすればいいんだ?

逃げるか?電話するか?


自分のポケットの中を探るが、
携帯が見当たらない。




『…無い。盗られた…?』




___逃げるしかない…!

ベッドから飛び降り、扉に近寄る。



扉をに耳を当て、人の気配を探る。
足音や声がしない事が分かると、僅かに扉を開ける。





『…よし、居ないな』





頭だけを出し、左右を確認する。
足音を立てずにそっと部屋を出る。


見つからない様に______


ドキドキと心臓が跳ねる。


壁に沿って歩き、曲がり角にあたる。
そして、一呼吸して覗き込む。




『…よし』





誰も居ない事を確認し、
先へと進む________





「こんなところで何をしているんだい?」





突然背後から声をかけられる。
全身の血が引いた。

脂汗が額に滲む。





見つかった____





『っ…!!』





気付いた時には足が動き、走り出していた。
体が逃げろと言っている。




「…走ると危ないよ」





背後に居た男は指を前後に動かす。
すると、目の前に巨大な呪霊が現れる。





「捕まえろ」

『っ…!!』




呪霊は命令通りにこちらに向かってくる。

いつも通り消えろ…
消えろ!!!




『消えろ!!』

呪霊「!!」




呪霊が橘に近付いた瞬間、突然 逃げ出す。




「!?」

『い、今だ…!』




隙を見て咄嗟に走り出す。

男は、パタパタと走り去る橘を
背後からじっと見つめる。




「やっぱり、見えているか…。
しかも何か面白い"もの"をもっているみたいだね」






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作者名:ニワトリ | 作成日時:2021年2月7日 15時

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