棘の女王。 (ページ28)

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夢中の追憶ページ28

屋上につくと俺たちは座り込んだ。

俺らの心とは裏腹に、皮肉なくらい、天気は快晴。

風磨「……イギリスとか…聞いてねぇし。」

ボソッとそう言った風磨。

というかコイツ、いつからさくらと仲良かったんだ？
確か中学の時はそんなに仲良くなかったはずだ。顔ぐらいは見合わせたことはあっても。

健人「てか、風磨。お前なんでさくらと知り合いなんだ？そんなにお前ら仲良かったっけ。」

風磨「お前さ、1回なんか忘れもんしたじゃん？
サッカー部の合宿の紙みたいな。」

健人「あー……そういやなんかあったな。」

風磨「その時にさくらと1回会ってさ。そっからお前が部活してる間はよく一緒にいるようになった。」

健人「…………そうなんだ」

風磨は、んーーと言いながら俺の隣に寝転んだ。

風磨は気づいてないだろうね。

この時、俺がお前を睨みつけてただなんて。

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俺は死ぬほど後悔した。

あのプリントさえ忘れなければ風磨とさくらが会うことなんてなかったんだ。

……なぁ風磨。お前言ってたじゃん？

お花の子を探してるって。
驚いただろ。お前の探してた子が、さくらが。
あんなに可愛かったなんて。

俺が忘れなければ……2人とも知り合いじゃなくて付き合わなかったはずなのに……。

健人「そっか……だってお前もうさくらの彼氏だもんな……」

そうボソッと言うと、は？っと言う風磨。

風磨「おま、なんで柏木と俺が付き合ってんだよ笑」

健人「え、だってお前、探してたお花の子と付き合ってたんじゃなかったっけ？」

風磨「そうだよ。」

健人「え……それじゃあやっぱ……「結望だよ？」は？」

風磨「俺さぁ、探してた子が結望だって何回も言ってたじゃん笑」

ふはっと笑ってそう言う風磨。

いや待て。絶対違う。白城なんかじゃない。

だって俺は毎回さくらから聞いてたんだ。
さくらが「ふーちゃんと今日も遊べたよ！！」といつも報告してくれてたから。
そして別れの時の押し花だってさくらは持ってた。

白城……あいつ嘘ついた？

健人「……じゃあお前、さくらと付き合ってねぇの？」

風磨「そうだよ？笑」

・

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・

そして……俺は最もついてはいけない嘘をついてしまった。

健人「そっか……見つかってよかったな。じゃあ俺行くわ。」

風磨「おう。」

屋上を出る前にもう一度振り返ると風磨は寝転んで空を眺めていた。

健人「風磨……ごめん。」

俺、昔からさくらが好きなんだ。