チョコチップ

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(スニョン)

もやもやした。

Aと一緒に来た、フミヤさんという日本人の、次の先生。
Aと仲良く日本語で話す姿にもやもやした。


結局、あれから俺たちの関係にはなんの進歩もなかった。
進歩させなかった、と言った方がいいのかもしれない。


結局彼女を好きなままで
彼女との関係の終わりは、あと1か月。

　
「A」

「ん？」

「あの人、どんな人？」

あの人、というのはフミヤさんのこと。

　
「いい人だよ。奥さんも日本人でね、2人ともすごく可愛がってくれる。」

へえ、そうなんだ、ん？

　
「ちょっと待って、奥さん？結婚してるの？あの人何歳？」

「13歳年上だよ。」

唖然！もっと若いんだと思ってた。

　
「ねえA、本当にやめるんだな。」

「うん、そう。」

すごくさみしそうな顔をするから、そんな顔するなと言いたくなる。

抱きしめて、なぐさめたくなるから、やめろと。

　
「ねえ、先生やめても、友達でいてくれる？」

そういうと、彼女は少し驚いた顔をしたけど

「うん、スニョンがいいなら。」

と笑った。

　
なんだか、ほっとした。


「Aがずっと先生やってくれるならいいのに。」

そういうと、彼女はまた困ったように笑った。

「そんなこといって、スニョンがフミヤさん気に入っちゃったりして(笑)」

「ありえそう(笑)」

ケラケラと楽しそうに笑うAと、こうして一緒に歩けるのもあと残りわずかだ。

　
「じゃあ、またな。」

「ありがとう、スニョン。」

そのとき、
違和感を感じたけど、何も言えなかった。

「おやすみ。」

ドアが閉まって、鍵が閉まる音がして。


「ああ、今日も聞けなかった。」

なんて独り言をつぶやきながら帰る。

　
結局、彼女がどうして仕事をやめるのかも知らないし、
今何の勉強をしているのかもわからない。

聞きたいけど、聞かれたくないんじゃないかと思って
結局いつも足踏みしたままだ。

言いたいことも言えない、聞きたいことも聞けない。

自分の臆病さに、すごく腹が立った。


もっと近づきたいのに、近づけない。

季節はすっかり変わって、
もう夏が近づいていた。

　

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