チョコチップ

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(A)

それから数日後、帰る前にもう一度会おうと親友に呼ばれ、この間も会ったカフェにやってきた。

　
「まさか、お兄ちゃんと付き合ってたなんて。」

「うん、黙ってたからね。」

「いつから？」

「...高2のときから。」

「はあ！？そんな前から！？」

思わず大きな声が出て、ばつが悪い(笑)

　
　
「よく隠し通せたね、2人とも」

「Aが鈍すぎるんだよ(笑)」


ｹﾗｹﾗ、と笑う彼女に、なんだよ〜と少し唇を尖らせた。

　
「で、どうなの？」

いきなり声音を変えてきた親友に、なにが？と返せば

「な〜にとぼけてるの！？毎晩男と電話してるって、聞いたけど！」

誰に？なんていわずもがな、きっと兄だ。

　
　
「...友達。」

そういうと、腑に落ちないといったような顔で、親友は「ふぅん？」と意味ありげにつぶやいた。

　
「正直に言ってごらん？」

という親友に「私に3年も彼氏の存在を黙ってたのに？」と言えばウッと黙った(笑)


「好きな人がいるの、でも、なんだろ？付き合えないのは分かってるから、ただ今は仲良くできて幸せ。」

　
そういうと、親友は少し申し訳なさそうな顔をした。

「どうして付き合えないの？？」

「うーん、いろいろ事情があるの(笑)日本人じゃないしね！難しいの！」

ごまかすように明るく言うと、彼女はそれ以上何も言わなかった。

　
「ねえ、A」

「ん？」

「その人のどこが好きなの？」

　
そういわれて、ふとスニョンが思い浮かんだ。

　
「...すごく、優しいの。がんばりやで...。」


自分が疲れているのに私を労り

自分がつらいのに私を励ます。

　
「韓国に行って初めてできた、本当に信用できる人..」
　
留学生だからともてはやされた。
日本人だからとおもしろがって告白もされた。
隣にいると目立つからとそばに寄ってきた人もいる。

優しい言葉をくれるひともすべて、信用できなかった。

　
スニョンはきっと、私がどこの国の人でも同じように優しくしてくれたはずだ。
それがきっと私ではなくても、同じように優しくしたはずだ。

　
優しく笑って私を呼ぶ声も
おつかれと頭を撫でる手も
照れくさそうに笑う顔も

「A、泣かないで」

そういわれて、自分の目から涙が落ちているのに気付いて
慌ててティッシュでふいたのだった。

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