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(A)

『A』

電話越しに聞こえるスニョンの声に、ほっと息がでて、泣きそうになった。

「スニョン、今時間いい?」

『いいよ。代わりな。』

「うん、ごめんね。」

『大丈夫だから。』

 
先輩に電話を渡すと、先輩は今まで聞いたことないような低い声で話し出して、身震いした。

 
 
先輩の声は低くて、何を言っているのかよく聞こえなかった。

でも、数分話したあと電話を切って、彼はゆっくり私に微笑んだ。

 
 
「僕の負けだよ。」

 
 
やれやれ、といった顔で彼は立ち上がった。


「先輩...」

「僕、フラれるのは初めてだな。」

 
ニコリと笑った彼は、スマートにお会計を済ませて

「Aちゃん、お幸せに。帰りは彼が来てくれるから、僕はもう帰るね。」
 
 
彼が来てくれる?なんていう私の疑問はそのまま。
先輩は先にお店を出て行ってしまった。

 
 
どうしよう?と思っていたら、電話が鳴る。

 
スニョン、と表示された名前にドキリとして、電話に出ると

『A、外寒いんだけど〜』

「!?」

 
びっくりしてお店の外に駈け出したら、マスクと帽子で顔を隠したスニョンが立っていた。

 
 
ドキン、でもズキン、でもなかった。

 
効果音をつけがたい胸の音がした。

 
 
グレーのパーカーを着た彼が、「早く帰ろう。」と優しく言った。

スニョンが好きだと、ごまかせないくらい大きくなった気持ちを自覚して、悲しくてむなしくて堪らなかった。
 
 
 
「うん。」

 
彼の隣を歩けるから、今はそれでいいのかもしれない。

 
 
「スニョン、ごめんね。ありがとう。」

 
そういうと、彼は「いいよ。」と笑った。
 

「よかったの、先輩フッて。」

 
不意にスニョンがそんなことを言うから、「わかんない」と答えた。

 
「でも私、先輩と話してるときもずっと違う人のこと考えてた。だからこれでいいんだと思う。」
 
 
これでいいと、思いたい。

 
 
スニョンを好きでいることは、報われないことだけど。

 
 
心にスニョンがいるまま、あの素敵な先輩の隣に立つことはとても失礼だと思うから。

「そっか。」

 
スニョンがそういって、私の頭を撫でた。

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鋳柘 - スニョンとドギョミは親友と言うよりは年が違うので兄弟ですし、ドギョミはスニョンに敬語を使いますよ。 (2018年10月19日 20時) (レス) id: 16c2882a48 (このIDを非表示/違反報告)
ジナ(プロフ) - 志保さん» 志保さま、スニョンペンさんにそういっていただけて本当にありがたいです^^励みになります!ゆっくりになってしまいますが、更新がんばります^^ありがとうございます! (2015年10月16日 22時) (レス) id: d2ae460245 (このIDを非表示/違反報告)
ジナ(プロフ) - ぱく さらんさん» ぱくさらん様、暖かい言葉ありがとうございます(泣)週に2,3回もできないようなときもありますけど..がんばります^^ありがとうございます! (2015年10月16日 22時) (レス) id: d2ae460245 (このIDを非表示/違反報告)
ジナ(プロフ) - みゆきさん» コメントありがとうございます!とても遅くなってしまって申し訳ないです(泣)ゆっくりですががんばります、ありがとうございます^^ (2015年10月16日 21時) (レス) id: d2ae460245 (このIDを非表示/違反報告)
志保(プロフ) - 元々スニョンペンなんですけどこの小説読んでさらにスニョンが好きになりました!!すごく私のツボにハマります!大好きです!ヾ(@⌒ー⌒@)ノこれからも更新頑張ってください! (2015年10月11日 19時) (レス) id: 67a82fd094 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ジナ | 作成日時:2015年9月23日 15時

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