ラテのある日3 ページ42
「はい。そうデス。」
ジョーンは重々しく頷いた。
ラテは自分の分のお茶をずずず、と別の場所で飲みながら身体強化で耳をそばたてる。
この場ではラテはいてはいけないから。
例え弟子でも。
「もし居場所がわかって、ジョーン様はどうなさるんですか。」
「会いに行きます。」
即答か。
「会いにいけない場所なら?」
ジョーンは一瞬たじろぐ。
「それでもデス。」
師匠はそのたじろぎを見逃さなかった。
「本当ですか。」
「本当デス。」
「会いにいってどうするのかしら。帰ってこれなかったらジョーン様はどうなさいますの。」
「リリーは帰ってこれないのデスか。」
顔にさらに影が落ちる。
それでもイケメンだったのでラテは機嫌が悪くなった。
「えぇ。少なくとも3年間は。いいえ、それ以上かもしれません。」
ラテはガバッと立ち上がる。
それは言い過ぎだ。
それ以上の情報は大臣と関係者しか知らない。
師匠はこちらにも目もくれずジョーンを見続けた。
ラテは気を落ち着かせて椅子に座る。
だてにラテの師匠だ。考えがあるのだろう。
もし、あの軽い口が滑ったら全力で止めに行こう。
杖を握りしめてさらに神経を耳に集中させる。
「なんで、、三年、、。」
ジョーンは、ショックで顔がこわばっていた。
「なんでだと思います?」
師匠は、、、面白がってるね。
失礼な人だな、ラテは菓子に手を伸ばす。
「分かりません。いや、、、メアリーの陰謀カモ」
メアリーという名前にラテは無意識に菓子を潰してしまった。
師匠はラテがいるところをチラッと見て言った。
「なぜ、メアリー様ですの。」
ジョーンは顔を上げて答えた。
「メアリーはリリーがいなくなった後笑って嫌な事をイッテました!ザマァ、とかデス。そんなこと言うのは犯人だからデス!」
(おいおい、物騒だな。)
突然声がしてラテはびくりとする。
「ちょっと、合図もなく声をかけないでもらえる?ヘンリー。」
声をひそめて言うと壁の方から笑い声がした。
「すまない。今出てこよう。」
ヌーっと壁から金髪の男性が出てきた。
「やぁ、どうだ今の状況は。」
ラテは眉をひそめる。
「見ての通りよ。師匠は大丈夫かしら。変な情報を言ったらタダじゃおかないんだから。」
ヘンリーはまた笑うと菓子を食べて飲みかけのお茶を飲んだ。
いつものことなのでラテは気にもしない。
他の人が見たらはしたない、とか破廉恥、とか言うだろうな。
「この茶は濃すぎる。もうちょっと薄い方が好みだな。」
知らないわよ。
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ザン(プロフ) - かなとさん» 外しました。 (2019年8月17日 2時) (レス) id: 8e20d05d05 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年8月15日 16時) (レス) id: ba1b78c8bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ザン | 作成日時:2019年8月15日 16時