赤い文字 ページ49
校舎の中に入るとさっきの悲鳴とは打って変わって静かだった。
一年一組のプレートを見上げ中に入る。
そこには、目をつぶって倒れているみんながいた。
そばに行き脈をはかる。
脈ってどこだっけ?、、泉は焦った。
「うわっ、なんだこりゃ。」
後ろで片寄くんの声がした。
「この子達の脈をはかって。」
片寄くんは重々しく頷くと脈をはかる。
泉は周囲を見回して目を伏せる。
それだけ怖かったんだろう。
突然知らない人が教室に入ってきて次々と友達が倒れていく恐怖。
逃げようとするが逃げられない。
まだ死にたくない、
お姉ちゃんを思い出す。
仲間がいない状況でどれくらい怖かったんだろう
泉も今怖い。
倒れている人達を見ると悲しくて胸が張り裂けそう
無能な自分が恥ずかしい。
魔王をつぶすって言ったけど、私大丈夫なのかな。
「森林、こいつら多分全員生きているんだと思う」
片寄くんの声でハッとする。
今は自分ができることをやらなくちゃ。
「みんな気絶してるってこと?」
「あぁ、いったいどんなものを見たらこんなたくさんの数の人達が気絶するんだ。」
泉は想像しただけでぶるっと震え上がる。
それを自分より年下の子たちが見たんだ。
「分からない。とにかく行ってみよう。」
泉は近くで倒れていたこの頭を撫でて教室を出た
他の教室も同じような感じだった。
みんな倒れていたが気絶しているみたいだった。
自分の教室にきてハッとする。
ここの教室だけ他の教室と違った。
他の教室は荒らされておらず綺麗なままなのにこの教室はめちゃくちゃに荒らされていた。
「学校の秘宝がこの教室に眠っていたんじゃないのか?それを盗むためにみんなを眠らせて盗んだんだ。」
隣で力説する片寄くんを泉はスルーして荒らされている部分を見ていく。
何かを探している、みたい。
ごく自然だった。
頭上を見たのは。
“リリー・ワトソンは呪われた魔女”
赤い文字でそう書かれていた。
片寄くんも泉につられて上を見上げる。
そして大きく目を見開いた。
「リリー・ワトソンって、誰のことだ?」
泉は恐怖で口もきけず体が金縛りにあったみたいに動かなかった。
相手の目的は、、、、私?
2年前といえば私の姉ミア・ワトソンが人間界へスパイしに行っていた頃。
もしかして2年前は姉を探すために、、、?
そして今回も。
そう思ったら意識が飛んでいった。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ザン | 作成日時:2019年8月7日 0時