待ち伏せ ページ45
翌日学校へ向かうと昇降口で女子の人だかりができていた。
これじゃぁ通れないじゃないの、と泉が怪訝に思うと、人だかりの中から一人の男の子が出てきた。
泉は今すぐ逃げ出ようとするが手遅れだった。
「おはよう。」
片寄涼太。
あかとしろのシャツに短パンの涼しい格好。
あいかわらず髪はくしゃくしゃしていて無表情の顔はラテを思い出させる。
自分に声をかけていない。自分は無関係。
頭の中で繰り返しながら靴を履き替えようとするが空気が読めないのか、それともわざとなのか、ヤツは私の方に手を置いた。
「おはよう。」
さっきよりも大きな声ではっきりといった。
泉はそれでもその事実を認めたくないのか気づかないふりをするが諦めたようにため息をついた。
「おはようございます。今日もいい天気ですねっ」
「もうすぐ雨が降るぞ。」
それを合図にポツポツと雨が降り始めザーッと大量に落ちた。
「は、、、ははは、、、ワーオ。」
泉は今すぐ気絶したいと思った。
周りの視線が痛いったら何の。
もう私の学校生活終わったも同然。
カレンに敵認定されてお先真っ暗の状態で、今度は片寄涼太の取り巻きかよっ!
ふざけるなっ!
「私教室行きたいからそこどいて。」
なるべく笑顔になれるように気を付けていった。
「ダメ。話があるんだ。昨日から言ってるでしょ」
周りの視線がさらに強くなる。
いやぁぁぁぁ!
「トイレ行きたい。」
「ウソはだめだよ。」
チッ
「もれそうとかじゃなくて、こもりたい。」
「臭いよ。」
「そういう気分なの。」
ここまで言ったんだから察しろよ、片寄涼太!
「、、、、。朝、親とケンカしたのか。」
「ま、まぁそんな感じ?今日雨で憂鬱だしちょっとイライラしてて気分悪いの。」
察しろ!察しろーー!!
「、、、。分かった、また後で。」
「うんうん!会えたらね。」
逃げるように教室へ向かった。
******
すっかり忘れてた。
こいつと、片寄涼太と隣同士だったってことを。
泉は大きくため息をつく。
早めに話そう。人がいないところに引っ張って。
泉は授業中に紙に書いて隣にまわした。
“25分放課に誰もいないところで話そう”
数分もしないうちに返された。
“あぁ、裏庭誰もこないから話せる”
泉も書いてまわした
“了解です。”
これで交渉成立。
あとは運のみ!
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作者名:ザン | 作成日時:2019年8月7日 0時