味方 ページ5
「全部知っている。リリー・ワトソンの噂、メアリーのイジメ、アリス先生のこと、姉のこと、全て調べてある。」
しっかりとリリーの目を見て
「私はリリー・ワトソンの味方だ。安心しろ。」
そう言った。
その表情は相変わらず無表情だったがリリーには女神様のように見えた。
キラキラとしていて優しいオーラがあってついギュッと抱きしめて泣いてしまった。
「びえーーっ、、、ヒッ、、、ヒッ、、、！」
知っててくれたんだ。
理解してくれる人がいた！
涙が次々とこぼれ落ちる。
少女は突き放すことも怒ることもせずただぎこちない手でリリーの頭を撫でていた。
＊＊＊＊＊
しばらく経つとリリーの涙もひっこんでいた。
「落ち着いたか。立ったままは疲れる。」
不親切な言葉に眉を寄せるが素直に退いた。
「リリー・ワトソン。」
「リリーでいいよ。」
少女は顔をしかめる。もしかして嫌だったのかな？
不安になるリリー、しかし少女はぎこちなく言った
「リ、、リリー。」
名前を呼ぶことに慣れてないの、と頭をかく少女に愛おしさをリリーは感じた。
「リリーは私のことを知らないようね。結構みんな知ってると思ったから驚いていて。ついいつもの調子で話してしまって申し訳ないと思っている。」
さっき私が起こったことをまだ引きずっていたの！
あんな恥ずかしい八つ当たりみたいなこともう忘れてもらっていいのに、もー！！
「私はここで先生の助手をしている、ラテ。」
「ラテね。見かけによらず、可愛らしい女の子の名前じゃん。」
そう言ってハッとする。しまった！正直に思ったことを言ってしまった！！
嫌われる！と思ったけどそんなことはなく苦笑された。
「よく言われる。私のあだ名を知ってる？」
首を振るといたずらを考えるような笑みを浮かべる。
「鉄仮面。」
ぶぶっと吹いてしまった。
「あなたもそう思う？私が鉄仮面って？」
無表情で問いかけるラテに私は首をかしげる。
「そんなわけないでしょ？話してみると面白いし、笑うし、優しいし、全然鉄仮面じゃないよ。なんで鉄仮面って言われてるのか不思議なくらい！」
ケラケラと笑うとラテの目が大きく見開かれていた
何を、そんなに驚くこと？
鉄仮面その通りって嘘ついた方が良かった？
ムリムリムリ！嘘はつけない性格は直せん！
「そんなこと言われたの初めて。」
「私だって！味方だよって言われたの家族以外で初めてだよ？」
二人は互いに見つめあって苦笑する。
新しい友達ができたことがリリーは嬉しかった
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作者名：ザン | 作成日時：2019年8月7日 0時
