6年2組 ページ38
「皆さん、静かにして。今から転入生を紹介します。」
教室は徐々に静かになり、やがて声が聞こえなくなった。
「コホン、それでは森林さん入って。」
泉はびくりと体が震えると、ぎこちない笑顔で中へ入る。
先生のもとへ行く途中の視線が痛い!
「今日からここのクラスの一員になる森林さんです。自己紹介して。」
「ナゴヤの小学校から来ました、あ、森林泉です。よろしくお願いします。」
今度は気をつけてお辞儀をする。
「はい、少しの間かもしれませんが仲良くしてあげてください。森林さんは、片寄くんの隣ね。」
片寄くん、、、?
先生の指差した方には机に足をのっけて私を見つめる、あの男の子がいた。
私がその席に近づくと片寄くんは私を表情のない目でじっと見つめていた。
「隣、座らせてもらいます。」
視線を合わせずに椅子を指して言った。
「別に。」
最初の出会いは互いにあまり良い印象ではなかった
なんてだらしない子、これが片寄涼太の第一印象だった。
******
「ねぇ、名古屋ってどんなところ?ビルは大きかった?」
「小学校、イケメンいた?」
「なんで転校してきたの?」
休み時間になるとクラスの子達が泉の周りに集まってきた。こういうのに慣れていない泉は戸惑った。
「大きかった、かな?」
「イケメンは1人いたよ。」
「なんでだっけ?ははは。」
律儀に答えながら、隣を見る。
隣の片寄くんは転校生じゃないのに男子や女子達に囲まれていた。
「森林さん、さっきから片寄くんみて〜、さては一目惚れしちゃった?」
女の子の声に周りの女子の温度が一度下がったような気がした。
「じょ、冗談はやめてよー!片寄さんって、有名人なのかな?って気になっただけだよ。」
周りの空気が緩んだ気がしてホッとする。
「だよねー、さすがにないよねー!片寄くんイケメンじゃん?森林さん可愛いから好きになったら大変かもって思っただけだから!」
その子は笑って言ったが、泉は全く笑えなかった
まさにジョーンとアリアと私。
学習したから、もう変な気持ちは抱かない。
そもそも、人間界の人と魔法界の人は付き合えない
魔法界では自分の魔力と釣り合う人としか結婚できないからそもそも魔力のない人と交際なんて例外だ
「やっぱり、イケメンにライバルが多いのはあっちもこっちも同じだね。」
ふぅ、とため息をつくとみんなも苦笑した。
「そうだねー」
「でもこっちはあの子がいるからねー。」
あの子?
「片寄、狙ってるこわ〜い女子!」
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ザン | 作成日時:2019年8月7日 0時