正体 ページ24
せっかく友達になったのに、
復讐したい相手のスパイだと言われたらどうしよう
私は殺してしまうのかな、、、。
リリーは手をギュッと握る。
ラテはいつもの感情が読み取れない無表情だった。
何を考えてるの、、、?
「ええ、そうね、私達はスパイよ。」
リリーは頭が真っ白になった。もう終わりだ。
大臣の、、、、。
「だったら用はない。出て行ってくれますか。」
突然お父さんが口出しをした。
「俺らは大臣を恨んでるんだ。君たちも恨みかねないかもしれない。恨んでしまう前に帰ってくれ。」
お父さんの声が微かに震えていた。
リリーの魔法の威圧が周囲に流れていたのにはリリーは気づかなかった。お父さんはリリーに気を使ってくれたのだ。
口を開いたのはヘンリー先生だった。
「待ってください。スパイでも、大臣に雇われたスパイではありません!」
リリーはパッとヘンリー先生とラテを交互に見る。
ヘンリー先生はニコリと笑った。
「私は、ミア・ワトソン様に雇われた、いいえ、忠誠を誓った者です。」
ラテは隣でコクリと頷いた。
忠誠を誓った??歴史の授業は落書きして毎回サボっていたリリーには何のことかピンとこなかった。
しかし家族は理解していたみたいで驚愕していた。
自分だけわからないことに不機嫌でいると、ヘンリー先生がリリーを見て教えてくれた。
「忠誠を誓うってことは主従関係を結んだってことだよ。ワトソンの姉は私達の主ということだ。」
なるほど、、、ってえええ!!!
お姉ちゃんが先生と友達の主様だったってこと!?
どんだけすごいの、お姉ちゃんって。
「そんなことも知らないの。サボってそうな顔してたけどこれは基本中の基本よ。知ってて当たり前」
出来損ないの娘を見る母親のような目でラテはリリーを見た。
「むーっ!」
頬を膨らませてリリーは拗ねた。
そんな娘を無視して家族達は身を乗り出す。
「いつから忠誠を誓ったの!?」
姉が主様ということを知った家族達はヘンリー先生への警戒も溶け気軽に接した。
「確か、主様が魔法省に勤務して数ヶ月くらい経った頃だと思うな。」
ヘンリー先生もそれに甘えて気軽に接する。
なんか物珍しくてリリーはジッと先生を見た。
よーく見てなかったけど先生てイケメンなんだよなぁ。女子の間では紳士って言われてたっけ?
少し長い金髪の髪、青い瞳、目鼻立ちがハッキリと整った顔立ちだった。
リリーの視線に気づいたヘンリー先生は恥ずかしそうに目を逸らした。
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作者名:ザン | 作成日時:2019年8月7日 0時