ダメだよ ページ20
しばらく経つと階段を下りる音が聞こえた。
魂が抜けたようなおじいちゃんが姿を見せた。
いつも元気で笑顔が絶えないおじいちゃんの様子を知っている家族一同は驚いた。
「あぁ、、、あの大臣め、、、魔界め、許さない」
おじいちゃんはブツブツと何かをつぶやくと貯蔵庫の扉が勝手に開き、酒瓶が飛んできた。
おじいちゃんはそれを掴むと栓を抜きゴクゴクと飲む。
お母さんは、ハッとし慌てて酒瓶を奪い落とす。
パリーンと酒瓶が割れる音がした。
「多くの酒を一気飲みすると死に値する、知ってるわよね。」
リリーの顔の血が引きつる。
「おじいちゃん!?」
「死んでもいい。ミアに会えるなら、死んだって」
おじいちゃんの目から涙が溢れる。
リリーはおじいちゃんの手を握り自分も涙を流す。
「死んじゃダメだよ。お姉ちゃんに会えるのもいいけど私と会えなくてもいいの?私は嫌だよ、おじいちゃんと会えないなんて。」
おじいちゃんが夢から覚めたようにリリーを見つめた。
「死ぬならお姉ちゃんの仇を討ってる最中にして。少なくとも自分で死ぬより誰かのために死ぬってかっこいいじゃん。私、死ぬならそうしたい。」
何を言ってるか分からなくなったけどリリーは続けた。
「だから、魔界へ行く。」
みんながざわりとした。それには尋問会でもう慣れた。
医療室で夢を見たじゃないの。お姉ちゃんに、泣いてる暇があったら動けとかなんとか言われたじゃん
だから、
「魔界でお姉ちゃんを助ける。もし、死んでたら、」
息を吸い込む
「、、、っ、魔界を滅ぼしてやるっ。お姉ちゃんを殺した魔界とキッカケを作った大臣に復讐という呪いをそしてお姉ちゃんの意思の魔法界の存続を。」
おじいちゃんを握る手に力が入る。
負けない、、、私は動く。
そんなリリーの意思と決意を聞いて家族一同は感激した。そして反対することなく同意した。
「ミアの為なら、、、。」
「全て実現できるか分からないけど、うじうじしてるくらいならやるしかないわね。」
「ワトソン家は最強だ。それぞれの特技を生かし、頑張るぞ。」
おじいちゃんはリリーを見て優しく笑った。
「成長したな。」
「まだ、11歳だよ?」
同じ目標と決意を掲げたワトソン家の顔は晴れ晴れとしていた。
その顔は今来た来客者によって打ち砕かれる。
意図も簡単に
扉を叩く音がしてお母さんが開く。
そこには驚くべき人物が立っていた。
リリーは汚物を見るような目で奴を見た。
そいつはワトソン家の大切なものを失くし、飄々としている大臣だった。
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作者名:ザン | 作成日時:2019年8月7日 0時