魔力測定2 ページ11
もう一度管を通す。
「本気でやるんですよ。」
分かっております。なにせ、伝説の森の大魔女という将来がかかっていますから。
目を瞑る。洗濯するお母さんを思い出す。
水の魔法で衣類をぐるぐる回すのよ。人間界にそういうキカイがあると習ったことがある。
確かセンタクキというものだったよね？
ボタンを押したら勝手にぐるぐるぐるぐる回ってススギとかカンソウとかいろんな機能があったっけ？
ボタンを押さないやつもあったよね？手でぐるぐる回すんだっけ？
そのセンタクキを想像する。そんな感じで身体中を魔力でぐるぐるさせて押し出す。
「ぐっ、、、！」
突然声が聞こえたかと思い、目を開けるとヘンリー先生が床に仰向けに倒れていた。
真っ青な顔で汗をかいている。
「んなっ、、！」
リリーは慌てて管を外して先生に駆け寄る。
あわわ、どうすればいいんだろ！
治癒魔法ってまだ習ってないし、浅い傷口の処置くらいしか知らない。
調合ならなんとかなるけど、先生の症状知らないし薬草ない！！
誰か呼ばなきゃ！
「あ、、、誰か、、、！」
「リリー！！」
大教室の木製の扉が音を立てて開いた。
白衣を着た背の低く金髪の少女が立っていた。
「ラテ！！助けて、先生が！」
ラテは私の横に倒れてる先生を見て瞬時に理解をする。さらにその隣にある測定器を見て頭に魔法が浮かび上がる。
「サシアン・ラメンダー！」
薄く青白い光が先生に降りかかる。
「、、、、ぐはっ！」
ヘンリー先生は、息を吐き出したようにゆっくりと回復していった。
「ヘンリー、容態は？」
先生とつけずにラテはヘンリー先生の顔を覗き込む
なんて無礼なの？と思ったけどその場合ではなかった。
「ヘンリー先生！」
「ワトソンか。」
なぜか先生の顔は笑っていた。
「よくやった。もう寮に戻りなさい。」
いつもの優しくて明るい先生に戻っていた。
＊＊＊＊
その後の大教室に残ったヘンリーとラテはある人物を待っていた。
扉が開くと校長とともにその人物が入ってきた。
「待ってたぞ。」
「久しぶりですね。」
薄いグリーンの髪に同じ色の瞳の女性が笑った。
「今日はどのようなご用件で？」
校長はいつもの笑顔で問う。
「やはり、彼女も特別でした。」
ヘンリーは喜びを噛みしめるように言った。
「と、言いますと？」
女性の顔に笑みが消えた。
「使えるかと。」
「使う？というのっ！」
ラテの顔が強張る。ヘンリーは
「それが近道だろう。」
と言った。
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作者名：ザン | 作成日時：2019年8月7日 0時
