余命一年【完】

一年 ページ16

「私の可愛い弟へ




これをあなたが読んでいるということは、




私はもうここにはいないのね。




出来れば、こんな手紙読んでほしくなかった。




自分の口であなたに伝えたかったけど




私意外と恥ずかしがり屋だから




手紙で我慢してね。




一年前の4月のこと、覚えてる？




あなたが、私の病に気づいた時の事。




本当、あの時は焦ったよ。すぐ死んでもおかしくないくらい。




あなたは怒りもしなかったし泣きもしなかった。




少し安堵したけどその反面、悲しかった。




それから1月の今日まで、あっという間だった。




たくさん振り回したり、




迷惑ばかりかけてごめんね。




こんな私に文句をいいながらも、付き合ってくれてありがとう。




そんな優しい弟に、お願いがあるの。




もっと、世界を見てほしい。




4年前、大好きなお母さんを亡くしてから




あなたは何もしなくなった。




私はこの数カ月で出来る限りいろんな経験をしてもらおうと頑張ったけど




その努力が実るかどうかはあなた次第です！




お父さんの事は少しずつでも、いや理解しなくてもいいけど




叔母と叔父には心を開いてほしい。




彼らの苦しさを知ってほしい、一緒に歩んでほしい。




少しの勇気で、変われるなら、出したほうがいいじゃない？



頑張って。




私もう死んだから今からぶっちゃけます。(突然！！ｗ)




私やっぱり父さん嫌い




私達を置いてった母さんにも少しイラついてた。




最初は叔父と叔母なんて父さん同様大嫌いだった。




でも、あなただけは違った。




ずっと一緒に居たかった。




死にたくなんてない。もっと生きたかった。




あなたと明日も明後日も一緒に過ごしたかった。




私にはもう、朝はこない。




でもね、やっぱりこれでよかったと思う。




私、あなたが思っているよりいい人じゃないし、




引くかもしれないけど聞いてほしい。




私は、あなたが好きだったよ。




姉としてでも、母としてでもなく。




毎日を私の分まで、生きてほしい。




好きな人には幸せになってほしいから。





長くなってごめんね





私の事忘れないで




お爺ちゃんになったら、姉さん迎えに行きます。



その日まで



またね！！




Aより」

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