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参拾玖ノ型 ページ40

最終選別が終わった後の帰り道が一番大変だった。




無事に乗り越えられた安心感と、疲労がどっと押し寄せてきて




今にも倒れそうだ。




「・・・A、大丈夫か。あと、もう少しだ。」




と言いながらも、一番重症の炭治郎。




本人は大丈夫と言っているけれど、額や、腕や足の傷が生々しい。




対して私は軽傷だが、服は泥まみれである。




はぁ、とため息をつくと思い出すのは兄さんだった。




やっと、兄さんと同じ鬼殺隊に入れたと思ったのに




当の本人は行方知らずで・・。




妹の私を置いて、何処に行っているの!




悲しさと腹立たしさと疲れがぐるぐると渦巻いて




頭がおかしくなりそうになる。




ーーーーーーーー




鱗滝さんの家に着いた時は、もう夜になっていた。




「禰豆子・・・鱗滝さん・・・」





そう炭治郎がつぶやいた時、




鱗滝さんの家の扉を吹っ飛ばして、禰豆子ちゃんが出てきた。




突然の事に私は驚いて、自分の目を疑った。





「禰豆子!起きたのか・・・?」




禰豆子ちゃんは炭治郎を見つけると、駆け寄って




「禰豆子!!」




倒れた炭治郎を優しく抱きしめた。




「あぁぁ・・・お前、、何で急に、寝るんだよ・・・!」




炭治郎は、禰豆子ちゃんを強く抱きしめ返す。




声が震えている。今まで、我慢してたんだもんね。




良かったね、炭治郎。




「ずっと起きないでさ!死ぬかと思ったじゃないか!」




そんな二人を見て、私は何故か言い知れぬ寂しさを覚えた。




ふと、家の方を見ると、鱗滝さんが薪を持ってこちらを見ていた。




『鱗滝さん、ただいま。』




そう笑いかけると、鱗滝さんはこちらへ歩いてきて、




私達を強く抱きしめた。





「よく、生きて戻った。」




その言葉が嬉しくて、私は泣きそうになり




炭治郎は声をあげて泣いた。




『鱗滝さん、もう大丈夫だよ。』




そう言うと鱗滝さんはお面を外して優しく笑った。




ふと、気配を感じた。




ここにいるはずのない、あの二人の気配を。




慌てて振り返る。




私の目には見えないし、今は何も感じないけれど




二人は私達の傍で見守ってくれているのかな。




『・・・ありがとう。』




そう言うと、風が吹き木々がざわざわと揺れた。




まるで、喜んでいるように。

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ああや - すいません、あの、炭治郎の一人称って俺じゃないですか? (8月19日 18時) (レス) @page43 id: 1c6e4dd03f (このIDを非表示/違反報告)
hasira - すいません!そもそも、オチってあるんですか?オチがいたら、誰オチか教えてください。 (2022年3月22日 11時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
hasira - えーっと・・・最終的に、夢主のことを炭次郎が好きになるんですか? (ごめんなさい!🙇まだ少ししか、読んでいないので。) (2022年3月21日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 宮廷薬剤師読んでくださりありがとうございます!え・・私の頭脳ですか?(笑)変なモノしか詰まってませんが、こんなのでよければ...( ´∀` )どーぞっ!(笑) (2020年4月6日 16時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
踊る子豚 - 宮廷薬剤師から飛んできました。本の虫さんの作品って全部読みごたえがあるし、面白い発想が本当に好きです。その頭脳分けてくれませんか?(笑) (2020年4月5日 19時) (レス) id: 0870a0ad41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:本の虫 | 作成日時:2020年3月5日 23時

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