鬼が唯一恐れた女（鬼滅の刃）

参拾伍ノ型（手鬼side) ページ36

あぁ愉快愉快！！




また鱗滝んとこの餓鬼が死んだ！




アイツ、また自分の餓鬼が帰ってこなくてどう思うんだろうなぁ。




どんな顔をするんだろうなぁ。ひっひっひ。




あーあ見たかったなぁ。




木の横で倒れている餓鬼を上から眺める。




恨むなら、鱗滝にしろよぉ〜？

『ふざけるのも、大概にしろ。』




低く、鋭い声。




金縛りにあったかのように俺は手を止めてしまった。




その手を、何者かに切り落とされる。




落ちた手が、うねうねと動き消えていった。




誰だぁぁぁぁ！




『鬼さん、どこを見ているんですか？上ですよ、上。』




上を見上げると、憎たらしい鱗滝のお面をつけた女が刀を振り上げていた。




ザシュッ・・・・




『あー・・・ごめんなさい。手が震えて外してしまいました。』




俺の手が消えていくのを目の端で見て女は刀を構えなおした。




『でも、安心してください。次はちゃんと首を斬りますから。』




そう言うと、不気味に笑った。




あの憎たらしい鱗滝の餓鬼めッ




頭をひねりつぶして、手足を引きちぎって、ズタボロにしてやるッ！！




『醜い』




先程とは打って変わって低く恐ろしい声に、思考が止まる。




『これ程の憎悪は初めて見たわ。』




「そうだろう。俺は一生忘れない！！４７年ま・・・」




ザシュッ・・・




「！！？？」




『はぁ、その手すごい邪魔です。首に届かないじゃないですか。』




「人が話している最中に・・・っ！」




『あら、心外。誰も語れとは言っていないけれど？』




そう言うと、また攻撃しようとする。




でも、弱い。たかが、女。




こんな女に負ける程俺は弱くない。




花柄の着物と同じように挑発して自爆してもらおう。




「俺は、鱗滝の餓鬼を１３人喰った！」




『うんうん。それで？』




・・・なんだ、この奇妙な感じ。




『どうだった？喰った感想は・・？』




「・・あぁそれはそれは・・・」




『満足できた？』




「・・・(ゾゾッ」




女が話すたびに薄い刃物で背中を撫でられるような感覚に陥る。




ス〜ッ・・・




『あなたはきっとこの先も満足できない。だって、あなたが喰っているのは鱗滝さんじゃないもの。結局無意味な事なのよ。』




「煩い、黙れ！」




ザシュッ・・・・




「ぐはっ・・！」




何！？・・・いつの間に・・・




俺の首は、硬いはずなのに！




アイツ、呼吸を使わないで・・・！

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