そうは問屋が卸さない【BTS】 (ページ11)

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『これが、噂のチーズホットドッグ。そしてこれが噂の食べ歩き。』

私はそうブツブツ呟いてからがぶりとそれを頬張る。

うわ～～～チーズがのび～～～る～～～～！！！
～～～～～うめぇぇ～～～～～
　

　

そういえば前世ではBTSだとかTWICEだとかいったK－POPが流行っていて、若者たちが韓国に憧れていたんだっけ？

日本中が韓国ブームに陥っていた時、私はTOEIC満点チャレンジに必死だったから、それらに塵ほど興味を示さなかったけど、まぁ機会があるんだからやってみてもいいよね？って訳で試してみたら・・・・やばい！！上手すぎる！！！はまっちゃう！！！

　

「お嬢さん、これ異国から取り寄せた限定商品だよ。良かったら買ってみない？」

「下民がA様に話しかけるなど無礼な。この者の店を潰させましょう。」

『物騒な事を言わないで。そんなんじゃ、商店街やら屋台やらがこの世から無くなってしまうではないの。・・・・・どれどれ、それを見せてくれない？』

　

敵意むき出しで、店主に牙を見せるリサを後ろにおしやって、私は商品を見渡す。
どれも欠陥しかないのに、値段御高めって、ぼったくりじゃん。

　
じっくり見ている振りをしていたら隣の店から店長らしき貴婦人が出てきた。

　

「もしかして彼氏さんとかいらっしゃりますの？」

『え～～いないよ！』

「あら、失礼。女の私でも惚れてしまう程美しい方でしたから、つい。
良かったら私の店の装飾品を買っていきません？まぁ、貴方の美しさには到底及ばないけど。」

『ははっ、口が達者ね。でも大ジョーブ！！いつか私に尽くしてくれる殿方が買ってくれると私は信じてるから。』

「俺がその殿方になってやろうか？」

『お兄さんが人差し指で車を持ち上げられたら考えてあげてもいいよ。』

　

そんなこんなで、商店街満喫。
ちょっとした小物を買ってから私はそこを出て行った。

そして、今、川沿いをゆっくりと歩いている。
時刻は5時ちょっと前。
どこで夕食を食べようかなーと、スマホでレストランを探していたら、向こう側に人が居るのを見つけた。

　

年季の入った作業着に、ちぐはぐなベレー帽、薄汚れた黒の長靴。
その人の周りには驚くほど沢山の絵の具が置かれており、傍にささっている看板には似顔絵屋と達筆な字で書かれている。

しばし見入っていたら振り返ったその人と目があった。
その出で立ちにはそぐわない、驚くほど美しい顔をしていた。