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『バッカじゃないの。』
「・・・おっも。」
『いっそのこと両腕達が折れてくれればいいのに。』
「僕自分大好きだから。」
そう言うと、どんっ、と椅子ごと私を落とす時透無一郎。
嫌い。大っ嫌い。語彙力の欠片もない嫌味が口から零れた。
「いやー流石女子の部!お題の人物は自分が探すんじゃなくて、自分の元へやってくる、という借り物競争の定義を吹っ飛ばした新たな借り物競争を見せてくれました!」
「来たの時透だろ?え?お題が楽しみだねえ。」
女子の黄色い悲鳴が運動場を支配した。
「もーさー、早く手に握りしめてくっしゃくしゃになってるそれ、見せてくださいませんかA先輩。早く見せてくれませんと自分で読み上げてもらうことになりますけど。」
「いや、そんな大層なお題じゃありませんよ?」
「先輩は焦らすのがお好きなんですか?早く教えてください。」
私はスピーカーに向かって紙を突き出した。隣にいる体育委員の男の子が代わりに読み上げる。
ちらりと時透くんを見ると強張った顔で私の手元を見つめていた。
「・・・・・・・・・髪が長い人、です。」
「えっ?」
思わずといったように慌てて口を押さえる時透くん。
視線が合った私はふんっと鼻で笑ってやる。そしてばーか、と口パクで彼に向かって言ってやった。
『私は三流役者なんかじゃないっつの。』
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『さっきさんざん言われたからやり返してやりたいなって思ってたの。』
「・・・」
『私が炭治郎の方へ走って行けば、時透くんならなにかしら妨害して来るんだろうなって。でもどんな方法で来るんだろ、って考えて、もしも私が炭治郎に告白もどきのことをしようとするのならあの性格の悪い時透くんは私が想像しないような手段を使ってくるんだろうなー、・・・・それで思いついたのが、馬鹿らしいけど自分が身代わりになって私を無理やり引っ張って一緒にゴールしちゃうっていうやつだった訳。かなりの賭け勝負だけどドンピシャだったでしょ。』
「・・・もし外れたらどうするつもりだったの。」
『炭治郎の傍にはアオイがいたから、時透くんが来なかったり、別の方法で妨害してきたらアオイを連れてくつもりだった。』
「はあー、最悪。君と同じ思考回路をしてたなんて。」
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栗きんとん - この作品に出会えて良かった。タカヒロ様、尊敬しかないです。更新楽しみにしてます。 (2021年3月24日 20時) (レス) id: e9d4725bf6 (このIDを非表示/違反報告)
ピエロ - 作者様の考え方が全ての登場人物に影響されていてみんな賢そうに見える。口勝負では負けそうですwww善逸のバレンタイン理論は共感しかないww僕も来年のバレンタイン頑張ろうと思います。 (2021年3月24日 20時) (レス) id: 0c0f9836af (このIDを非表示/違反報告)
烏 - 作者様は時透無一郎ツン理解していらっしゃる。私の大好きな時透くんがまんま再現されていて凄く嬉しいです。主人公がどうなっても自分得すぎる。むいたんもありだから笑これからも頑張ってください (2021年3月24日 20時) (レス) id: 7966fe5cdc (このIDを非表示/違反報告)
豚の鰭 - やばいとしかいえませんもっと評価されるべき作品です!こんな才能溢れる作品に出会えて凄く嬉しいです!!!更新楽しみにしてます頑張ってください!! (2021年3月24日 20時) (レス) id: 6d88d44dde (このIDを非表示/違反報告)
タカヒロ(プロフ) - 本の虫さん» 感想読みました。とても嬉しかったです。ありがとうございます。本の虫様の作品は昨年辺りから読んでいましたが、多種多様な作品で全く被ることのないストーリー性に驚きました。本の虫様の発想力を見習いたいです。ふつつかものですがこれからもよろしくお願いします (2021年3月24日 16時) (レス) id: 0e28084fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タカヒロ | 作成日時:2021年3月12日 11時