( 鋭利な鏃 ) ページ8
A side
『男と遊んでるから打てねーんだよ。』
『まじめに野球やれ！！！』
『卓としてる暇あるんなら練習しろ！！！』
『はやく辞めろ！』
『選手に色目使ってんじゃねーよ！！』
チャンスで三振…………
まぁ、そういうこともある。いつも打てたら打率10割だもん、
得点圏打率10割だもん。
一喜一憂せずに、切り替えて、守備で援護出来るように、、、、
……………いつもの私なら、どれだけヤジを言われても、
辞めろ、いらない、アホ、バカ、カス、なんと言われても次への切り替えができていた。
なんと言われようと、
結果を残せばファンは喜んでくれるし、
野次だって、期待してくれてるからこそ、
私を見てくれる人がたくさんいるからこそだって納得してた。
はずなのに、
今の私には、言葉一つ一つが、矢みたいに刺さったまま抜けない。
深くて、鏃がどこかに引っかかってる。
…………いろめ、か
使ってるつもりはない。
でも、みんなの優しさに甘えていたのは事実。
遠征先のホテルで卓さんに何度も助けてもらったのも、
帰りの車の中で、何度もメンタルケアをしてもらったのも事実。
思い当たる節があるからこそ、矢を簡単に避けることも、抜くこともできない。
ただ、鏃に付いた傷が体に引っかかって、えぐる。
96「………いろめ、」
8「Aー、いくよー！」
96「、！」
意識が飛んでた。やばいやばい、
切り替えなくちゃ、次だ。次。
打てないなら、守備で魅せなきゃ。
守備位置でボールと戯れている味方を見て、
急いでベンチを駆け上がる。
96「……集中、集中、」
6「(………大丈夫か、あいつ？ )」
7「( あかんと思う、 )」
6「( こればっかりは卓に任せるのも酷やな、 )」
7「( そうっすね〜、んー、)」
6「(………なんか、エラーしそうやな、あの顔 )」
7「( 意識がどこ行ってんだか、 )」
30「( たくーいくよー )」
9「(よっしゃ、がんばれ )」
この回から鍵さんに代わって、
先頭打者、2球目をライト前に運ばれて、ノーアウトランナー一塁。
次の打者が打席に入り、ランナーの動きを見て盗塁はあるか、ないか、キャッチャーの指示はあるか、ないか、
一つずつ確認していく。
4球目、変化球を弾いて、鋭くバウンドしてくる、
私の打球だ。
後から考えれば、ランナーの気配がしないのがおかしい話だったんだ。
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らい - いつも楽しく読ませて頂いてます。
続き楽しみにしています。
えがおの理由も大好きです。 (2018年7月2日 19時) (携帯から) (
レス) id: 2b97e5f6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃央 | 作成日時：2018年6月29日 13時
