I swear love from V ページ36
｢………う…… Bonan matenon, mia karulo《chu｣
背後からヴィクターが調理中にやってきて後ろからキスを受ける。
｢彼なんて？｣
｢わからないわ、時折寝ぼけてエスペラント語を話してるの。私に秘密の電話をする時も話してるわ｣
｢…A…貴方なんか妻みたいよ｣
｢へ！？｣
フィオが意味ありげに眉を動かし、フォークでAを指した。
寝ぼけたままヴィクターは腰に巻きついて、何度も首筋にキスをしながら服の隙間から指を入れようとしてくる。
｢…ちょ…ヴィクター起きて、寝ぼけて私を裸にしたら許さないから｣
｢ブッ｣
まだ半裸で肩にタオルをかけたままのギラスが食事を吹き出した。
｢ほら…拭いて｣
｢…｣
フィオがくれたナプキンで大人しく口を拭くギラスを不憫に思っていると、ヴィクターの指が嵌めている指輪に当たって腕を引っ張り出される。
｢…？こんな指輪あったか…？｣
｢あ…その…これは｣
｢この形…苺…か…？｣
やばいバレ…
その時ベリーのコロンが香って、ヴィクターの瞳が血が通うように赤く光った。
｢ア、ド、ラ、メ、レ、ク……｣
魔力が狼の遠吠えのように声にこもり、吠えて唸った。
｢こ、これ、たた多分ヴァハムート卿が置いていって…つ、つい…、｣
｢馬鹿者！悪魔から送られる指輪は契約の証！契約者を奴 隷とし！繋ぐための鎖だぞ！一度つければ契約者の血と骨と癒着し二度と外せない！｣
｢えぇええええ｣
思わず叫びながらAは指輪を指から引っこ抜いた。
｢………え？｣
｢え？｣
抜けた。
すんごい綺麗に抜けた。
｢…は！？…そんなまさか有り得ない…な…なんの呪いも契約もかかってない…ただの…指…輪…か…？｣
ヴィクターが恐ろしく取り乱して指輪の内側を見る。
｢……………す｣
｢？何か書いてあったの？｣
｢…こ……ろ……す｣
｢ねぇなんて書いてあったの？！ねぇったら！｣
｢殺す殺す殺す殺す殺す殺す｣
｢ねぇ！気になるじゃない！｣
Aが取り上げようとヴィクターと攻防している間、指輪がギラスの元へピン、と飛んできた。
好奇心に駆られて指輪の内側を見る。
｢(… Mi ĵuras amon de V)｣
ギラスは片眉を上げてその指輪を窓の外へぶん投げようと振りかぶったが、それをフィオが奪い取った。
｢げ！エスペラント語！…俺サボってたから全然わかんないんだよね〜｣
｢勉強しろアホ｣
｢フォークで刺すぞコラァ｣
｢やってみろや｣
指輪が寂しげにキラリと机で光った。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フェンタニル | 作成日時：2020年11月29日 16時
