春、来たる (ページ23)

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日常21 ページ23

『はぁ……疲れた』

あの後、練習に練習を重ね4時間。

俺はクタクタになって1ヶ月ぶりの自宅に帰ってきた。

いつもは棗のマンションか実家に帰っていたから鍵を探すのにも一苦労だった。

夕飯がまだだったので市販のサラダとパンを半分食べてシャワーを浴び、そのままベッドにダイブした。

部屋の空気清浄機とエアコンを控えめにして布団を被る。

最近は棗とひとつのベッドで抱き締めながら寝ていたから隣に温もりがないことが慣れない。

いつまでも棗を頼ってはいけないことは分かっているつもりだけど、子供の頃からずっと一緒だったのでそう簡単に離れられるということも俺には到底出来ない。

布団をかけているのに低体温な自分の体では一向に温度が上がらず、堪らなくなり棗に貰った大きなくまのぬいぐるみ、通称「佐藤さん」をギュウと抱き締めた。

『佐藤さん』は、俺が一人暮らしをすることが決まった時に棗がプレゼントしてくれたもので、1人が苦手な俺が寝れるようにと俺が抱き締めやすい大きめサイズのくまさんだ。

「佐藤さん」という名前は何故か最初から決まっており、棗から渡される時に「俺がお前に選んだ一人暮らしの相棒の佐藤さんだ」といって渡されたのでそれからずっと俺は「佐藤さん」と呼んでいる。