Sweet Lovers Days 【短編集】 (ページ9)

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『さぁ、どうなんですかね。』

「え、違うの！？」

『言ったらまた調子にのるじゃないですか。』

「ってことは、期待してもいいの！？」

いつもなら憂鬱で長く感じる駅までの道も、

今日はやけに短く感じて、

あっという間に目的地。

『ありがとうございました。』

「いや、ぜんっぜん大丈夫っ！」

『優斗先輩どっち方面ですか？』

「あー、俺は、もっと向こうかな？」

そう言って、私たちが歩いてきた道のりを遠く指さす。

全くの逆方向だったのに、なんだか申し訳ない。

でも、優斗先輩は嬉しそうだから、そんなには気にしてないみたい。

「俺さあ、かけひきのせいでAちゃんと全然喋れてなかったけど、」

「こうやってまた喋ってみたら、やっぱAちゃんのこと好きだわ！」

『.......』

「いや、せめて何か言って？」

誰もいない駅の改札口。

優斗先輩の突然の告白に、

戸惑って何も言えない自分。

あんなにアピールされても動揺しなかったのに、

何で今、こんなに焦ってるの？

『.......もう、かけひき、しなくていいですよ。』

「っへ？」

『別にっ、優斗先輩のこと、嫌いじゃないですから。』

『それじゃあまた....「ちょっと待って！」

長い腕が、改札口に向かう私の足を引き止める。

待って私、今結構顔赤いかも…

「えなに、真っ赤。笑」

『…からかわないでください。』

「……帰したくないって言ったら、怒る？」

もうすぐ最後の列車がやって来る。

私の首は、もう言うことを聞かなくて、

力なくフルフルと横に振ると、

掴まれていた腕をグッと引き寄せられた。

フワッと、初めて嗅ぐ優斗先輩の香り。

「もっと素直になりなよ、ホント。」

『…ごめんなさい。』

「俺が欲しいのは謝罪じゃないんだけどなぁ。」

ま、今度会うまでの宿題ね。

そう言って、優斗先輩は、

私の唇にキスを落とした。

ちょうど、

最終電車が、ホームを去っていく音が聞こえた。

～恋のカケヒキ【完】～

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