Sweet Lovers Days 【短編集】 (ページ3)

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それから時は過ぎて、

飛貴くんはいよいよ受験勉強も大詰めで、

私も飛貴くんの邪魔にならないようにバイトを沢山入れて、

会えない日が続いた。

『ただいま～』

「おかえりっ。ご飯は？」

『あー大丈夫、賄いちょっと食べたから。』

「そう…」

お母さんは、最近私の働き詰めの日々に心配し始めている。

暇な時間ができる度、飛貴くんのことを考えて、会いたくなってしまう自分がいて、

そんな気持ちを払拭するために、こうして毎日遅くまでシフトを入れていた。

『飛貴くん、頑張ってるかな…』

ブーーブーーブーー

マナーモードに設定したスマホがブルブル震える。

慌ててスマホを手に取ると、現れたのは＂飛貴＂の2文字。

『も、もしもしっ！』

＂あ、Aちゃん！？よかった、出てくれた。＂

「ど、どうしたの？こんな遅くに。」

＂勉強してたら、急にAちゃんの声が聞きたくなって…＂

電話越しでも、飛貴くんの嬉しそうな顔が思い浮かぶ。

久しぶりだ、この感じ。

やっぱり飛貴くんの声を聞くと、安心する。

『勉強、頑張ってるんだね。』

＂うん…やっぱりS大諦めたくないし。＂

『飛貴くんならきっと大丈夫だよ。』

＂……Aちゃん。＂

『なに？』

ハスキーだけど少し高い声が、

トーンを落として低くなる。

なんだろう、私、なんかいけないこと言ったかな…

＂大学合格したら…俺のお願い事1個聞いて？＂

『え、そんなこと？』

＂うん、そんなこと。約束だよ？＂

『分かった！約束する！』

やったー！ってスマホの向こうで喜んでる飛貴くんは、まるで小学生みたい。

それにしても、飛貴くんのお願い事って、何だろ…

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