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「今日は二人で外に出ませんか」
楽しそうに日々樹渉は私に告げた。
わくわくとかそわそわとかそういうオノマトペが似合いそうな顔をしている。
それでいて美しく見えるのだからつくづく美形というのは得な生き物だ。
「外ですか」
「えぇそうですよ」
「具体的にはどこに行くのですか」
「そうですね、決めていません」
この人は幽霊とどこかへ行こうと思えるのか。ひどく不思議だ。
不思議というより、なんだろうか。この人の言動はとてつもなく不可解だ。
「貴女も気持ち悪いでしょう?自分の顔に見つめられる生活は」
「まぁ、こちらを向いている写真はひとつもないので、大丈夫です」
「すべて隠し撮りですからねぇ、当然です」
自分のストーカーを目の前にしているのに恐怖は感じないのは多分、私が死んでいるから。
死はすべてを殺すが、無を産み出す。
「では、適当に考えながら行きましょうか?」
「はい、大丈夫です」
デートは顔の整った美青年としたかったのに、これじゃあまるで夢が叶ったみたいではないか。
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