レモン色、ひらり番外編～Apres cela～（Kazunari.N) (ページ26)

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重い瞼を開ける

顔をゆっくりと動かす

………あ、頭いてーな

ゆっくり瞬きをするとそこには君が

俺の右の指先をそっと握って

床に座り込んで、ベッドにうつぶせるように眠っていた。

……なんでアナタそんな寝方してんのよ。

重い左腕をそっと持ち上げてその頭をなでる。

柔らかい髪の毛のその手触りに堅くなっていた体と心が柔らかくなった気がした。

広いベッドがあるのに

俺の横には人が何人も寝られそうなスペースがあるのに

俺の指を握ってベッドの上に上がりもせずに

静かな寝息をたてるアナタ。

白い頬に指を滑らせる

ぴくっと肩がゆれて長い睫が持ち上がるさまを眺める

その瞳に俺が映った。

「和也さん…」

心配そうな声が聞こえてちょっと慌てたように起き上がるアナタ

「熱は？体だるくないですか？」

その小さめな手で俺のおでこや頬を覆う

和「まだ少し頭が痛いけどずっと楽」

俺の頬にまだ添えられていたAの手のひらを自分の手で包む

和「寝ててさ、息苦しさ感じて目が覚めるたびに側にいてくれてたのってAだろ？」

そう、この手が何度も息苦しさから助けてくれていた

ベッドから少し起き上がった俺に

これ飲んでくださいって差し出されるスポーツドリンク

汗もかいていたから着替えましょうねってＴシャツを渡してくれる

あー可愛いな。

俺のお世話をしてくれているAにおいでって腕を引っ張り彼女の体を自分の隣りに寄せる

和「なんでアナタあんなとこで寝てたのよ？」

こんなに広いベッドなのにさってちょっと拗ねたような声色になってしまう。

「熱があったから涼しい方がいいかなぁと思ったのと…」

和「と？」

あぁん？っとは思ったけど続きを促す

「私が隣に寝てるとゆっくり寝られないかなと思って…」

それどういう意味だ？

まあ確かに？２人でベッドにいたらゆっくり寝るのは何かと後回しになりがちだけどさ。

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