820話 ページ4
「っ……!」
遥弥の言葉にユキが悔しげに歯を食いしばり、炎真を睨みつける。
気持ちはわからなくもないが、それを許す訳にもいかないのだ。
……何せ彼女がいなくなれば、この世界この時代のボンゴレ10代目ファミリーは大変なことになるだろう。止められるのが遥弥ならば止めなくてはならない。
「じゃあいったい私はどうすれば……! ツナの様子を黙って見てろって言うんですか!?」
「だから、さっきからそう言ってるでしょ」
遥弥がそう言うのと、アーデルハイトが「脆いなボンゴレ」と鼻で笑うのは同時だった。
「これでもまだ未完の力だぞ」
「“罪”は、7日かけて完全に馴染む……」
「ほう? 知っていたのか、雲雀遥弥」
「……情報を聞きかじっていただけだよ。まさか本当に“罪”がシモンの血だとは思ってなかったけどね」
大嘘だ。当然全て知っていた。
知らないのはこれから起こることだけだ。
『____っ、若様!』
「リル?」
リルのどこか焦ったような声を聞き、ユキと遥弥は同時に隣に立つ銀色の匣アニマルを見やった。
そしてまた、同時に息を呑む____なぜなら、リルのその体の輪郭が、ノイズを帯びたように不安定になっていたからだ。
「り、リルさん!? どうしたんですか、それ……!」
『雪緒様、若様、申し訳ございません。責務を全う出来ないやもしれません』
「え……! どういうことですか!?」
まさか、と彼は呟いた。
……匣兵器であるリルの存在が不安定になる理由は主に2つある。
1つは、通常の匣アニマルのように、炎の供給がなくなって、匣に戻らなくてはならない場合。
しかし今、遥弥は現在進行形で炎を供給し続けている……いくら彼の総炎量が少ないからと言って、流石に数分保てないことはない。
そして2つめ……まず、大前提として、リルの主はもともと遥弥ではなく、匣兵器も彼のものでは無い。
つまり、リルの最優先事項は主の命令に従うことであり……その主である遥弥の母親は、未来にいる。
「強制接続切断……まさか母さんに何かあったの?」
『どうやらチャイニーズマフィアの強襲部隊の相手をすることになったようでございます』
「……タイミングが悪いな」
まさか敵の策略か、と顔を上げたと同時に、リルの氷の壁が消える。
そして遥弥が彼自身の炎で氷の壁を作ろうとするよりも先に、アーデルハイトによって行動を制限された。
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時