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863話です ページ17

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「ただいま」

ガチャリと自宅と玄関ドアを開け中に入るツナにひょこっと奈々が顔を出す。

「あらっ。そのキズまた転んだの?」

「……ま、まあ。そんなとこ」

あははっと笑って誤魔化すツナに奈々は全くと苦笑する。とここでユキがいないことに気付いたのかユキは?と尋ねた。

聞かれたくなかったことを聞かれ、ツナはギクリと体を揺らす。

「え、えっと…その…ユキは…」

流石にシモンファミリーに連れ去られましたとは、裏社会を知らない奈々には口が裂けても言えない。

さてどう誤魔化そうかと目を泳がせながら考えを巡らせているとスッと何かを差し出される。それは銀色のアタッシュケースだった。

何これ?とキョトリとするツナに奈々は一言。

「ユキがどこにいるかについてあえて聞かないことにするわ。けど、ちゃんと連れ帰るのよ」

何かを察したのだろうかそう言い小さく笑う奈々にツナはギョッとする。だがそれは一瞬でうんと力強く頷いた。

「ならよし。あーそれとこれね、さっき他の学校のメガネの男の子がツナ君へってこの包みを置いて行ったのよ」

「メガネの……?」

「えぇ」

はい。っと再度差し出すとツナは戸惑いながらも受け取った。そしてアタッシュケースの上にある手紙の表紙に書かれている名前にあっと声を上げる。

「正一君だ!!ありがとう、母さん!」

「いえいえ」

じゃあ私。これからやらことがあるからと奈々はリビングの方へと姿を消した。それを見届けてからツナはフローリングになっている床に腰を下ろす。

そして手紙を開け読み始める。
簡潔に纏めると、ユニから未来の記憶をもらった入江はこの時代のスパナと連絡を取り合い、そしてこれをツナへとスパナから預かったらしい。

未来の記憶を頼りに作った新型で“もしも”の時のために使って欲しいとのこと。

そしてスパナは近々日本に来るからその時にでも会おうという内容だった。中に同封されてあった今の時代のスパナの写真を手に取りツナはふとあるものが頭に思い浮かぶ。

「……もしかして」

恐る恐るにツナはアタッシュケースを開けてみると彼の推測通り、中に入っていたのはX BURNER用の新型ヘッドホンとコンタクトレンズだった。

「……ありがとう、正一君、スパナ…」

「準備万端だな」

ツナを見上げニッと笑う家庭教師、もといリボーンにツナは緩んでいた顔を一変させ神妙な顔付きになると力強くうんと頷いた。

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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1  
作成日時:2018年10月1日 7時

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