862話 ページ16
***
「……少し驚いたよ」
「え?」
____継承式が中断され、会議が行われたあと、並盛に帰る道筋で。
遥弥はとなりを歩く10代目を横目で見やった。
「君が、マフィア界の重鎮を前にして、『戦うのは僕だけにしろ』なんて啖呵を切るとはね」
「あ……えっと」
10代目が苦笑いをして頭をかく。
……そう、あのあと彼は9代目に談判したのだ。シモンと戦うのは10代目ファミリーだけにしたいと。友達を救うために戦うのだと。
彼らを……シモンをこれから友達、同盟としたいのなら、確かにそれが有効だ。当代同士のいざござ、ということにしてしまった方が、収まりが良くなる。
何故ならボンゴレ対シモンの抗争になった場合、流石にシモンが数で押されて負ける。そうなれば、シモンがどうなるのかは想像に難くない。
シモンの守護者たちは、おのおのが研ぎ澄まされた戦闘能力を持っている。失うには惜しい……遥弥の時代で、彼らがボンゴレの盟友であるように。
……彼は別に、計算でそう動いたわけではないだろうが。
「許可してもらえてよかったんじゃない?」
「9代目はツナの意志を尊重したんだぞ」
「……まあ、それもあるだろうね」
「それもある?」
10代目の訝しげな表情に、遥弥は薄笑いで応える。
……9代目は穏健派で比較的優しいが、なかなかに狸だ。
当然、強化したボンゴレリングによる勝機と、その際のシモンの有用性まで計算した上で、少数決戦を許可したに違いない。
そもそも、まだ中学生の彼をボンゴレのボスに据えようとした時点で彼の狸ぶりは明白だ。
今回、継承式を決行したのは、彼が大人にならないうちに、名目上だけでもボンゴレに縛ってしまえという考えからだ。
断ってもいいだなんて詭弁に過ぎない。あれほどまでに外堀を埋めておいて、一度断ったくらいでマフィアが諦めるはずがない。
彼の、そして彼の姉……ユキの素質は凄まじい。ボンゴレとしては絶対に手放したくはないだろう。
「あ、あの、遥弥さんも来てくれるんですよね?」
「シモンのアジトでしょ? ……行くよ、面倒だけど。命令されたし、ユキが攫われたのは俺にも責任があるからね」
それに、結局はどうせティナに行かされただろうし。
「じゃあ準備ができ次第、オレんち集合で!」
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年10月1日 7時