彼の倅が時間旅行をしてきたようですがどうすればいいですか？【リボーン/第十七章】

806話 ページ39

＿＿＿＿＿山本がやられた。

彼がやられるだなんて下手人は相当なやり手だ。

そして同時に、山本が心を許し、背中を向けていて、なおかつ油断していたという状況でないと、こんなことは起きない。


「恭弥兄さん」


並盛中に着くと、そこには大勢の警官が屯していた。

雲雀恭弥の治める並中での殺人未遂事件など、前代未聞も甚だしい。


「……遥弥、君、来たの」

「まあね、ちょうど連絡が来たから。現場は？」

「野球部の部室らしいね。……今並盛署の警察に調べさせてるよ」


やはりそうか。武器を持たず、無防備になる瞬間があるとすれば着替えをする部室だろう。

となると、彼はそこで一緒にいた部員にやられた可能性が高い。

心を許していたということを考えると野球部員、その中でも彼を攻撃できるような力量の持ち主は。


「……水野薫？」

「何、何か言った？」


不機嫌そうな雲雀の視線を受け流し、まさか、と呟く。未来で彼らが憎しみあう関係にはとても見えなかった、では何故。

……いや違う、逆だとするなら？ 彼らがボンゴレに歯向いたことが原因で、逆に距離が縮まったのなら？

山本は十中八九全快する、だとしたらそもそも彼が誰かに恨みを持つと思えるだろうか？


(……どうやら間違いなさそうだね)


下手人は水野薫。……そしてギーグファミリーをやったのはシモンファミリーだ。

何かあるとは知っていたが、まさかこの時代では守護者同士でこんなことになるほど敵対していたとは。……もっと昔のことを知っておくべきだったようだ。


「……ちょっと君、どこ行く気」

「中央病院だよ。もう事件のあらましはだいたいわかった」



＊＊＊


「遥弥さん！」

「遥弥兄さん！」

「ユキ、綾」


並盛中央病院に着くと、こちらの姿を認めたユキと綾が駆け寄ってきた。

綾は顔面蒼白、ユキはそれに加えて目の下に涙の跡がある。


「山本は？」

「……正面から刺されて、意識不明。助かっても、これから二度と歩くことは出来ないだろうそうです」

「……は？」


どういうことだ。山本が、歩くことができなくなる？ 未来で彼はピンピンしているのに？

ここで助かったあと、誰かが何かをしたのだろうか、それとも。

いや、今はそんなことを考えてる暇はない。


「遥弥兄さん、警察はなんて？」

「下手人が炎の使い手である以上、痕跡は何も見つからないだろうね」

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