784話 ページ17
「……でも、ユキたちのことはともかく、遥弥兄さんのことは帰ったら……私達、忘れちゃうんでしょ」
その綾の言葉に、悠弥とユキがはっとしたように目を見張る。
その通りだ。そしてそれは今のユキたちも同様に、いつか遥弥が元の時代に帰る時には、彼の存在ごと記憶から消えることになる。
……“10年後”のこの世界に来た時、綾や皆が彼のことをすっかり忘れていたように。
「……そっか。遥弥お兄さんや、恭香お姉さんは……」
それ以上言うことは出来ず、悠弥は静かに俯く。ユキにとっても他人事ではない別れだ、いつか訪れるそれを想像して青くなる。
雲雀とのことをサポートしてくれただけでなく、勉強の手伝いやイベント事でも年下の面倒を見てくれて、
ユキたちにとっては遥弥は兄のような存在になっていた。
この時代の綾たちは、そんな『過去の記憶』を忘れ、さらにこの時代での思い出も一部忘れてしまうのだ。
「……最初からわかってたことでしょ。帰るしかないんだよ」
「そうだけど……!」
でもやっぱり、というように顔を顰める綾を見て、遥弥は少し困ったように眉根を寄せた。
彼の困惑顔なんて珍しい、とユキは思う。
いつか別れが来る時、ユキたちがまたそれを惜しんだら、彼はまたそういう顔をするんだろうか。
「大丈夫でしょ綾チャン♪」
「白蘭、ユニ!」
口を開いた白い悪魔を振り返り、綾が瞬いた。
ユニも深青の目を穏やかに細め、「ええ」と賛同するように頷いた。
「いろいろなところで立ち回りできる彼ですが、自分の気持ちを伝えるのには不器用なんです、遥弥さんは」
それはかなり昔からです、と小さな声で彼女は付け加える。
心外そうに頬を引き攣らせる遥弥に、恭香が「今更ね」と言った。
「そうそう! 遥弥クンはきっと、『君が忘れても俺達が覚えてる』って言いたいんだよ♪
そうだよね?」
「……そうなの? 遥弥お兄さん」
「白蘭……」
勝手なこと言わないでくれる、という目を向けられて、顔を逸らす白蘭。
遥弥はやがてため息をつくと「……そうだね」と言った。
「忘れないでいてあげるから大丈夫だよ。
君はめそめそするなんてらしくないよ、食いしん坊将軍」
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さにー☆彡(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます、お話については夜野兎さんと決めていきます! 主人公というのはユキちゃんでしょうか……? とにかくこれからも頑張ります。 (2018年8月12日 7時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - もしできたら、そんなティナちゃんが主人公のお話しを読みたい、なんて言ってみたり...(*/□\*) これからも更新頑張って下さい!応援してますm(_ _)m (2018年8月11日 23時) (レス) id: 8ae51bebd5 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませて頂いてます!!さにーさんの作品はほとんど読ませて頂いたんですが、特にティナちゃんが大好きです(^ー^)師弟の関係でティナちゃんを嫌っているように見えて尊敬しているところもある。そんな師弟関係についにやけながら読んでます苦笑 (2018年8月11日 23時) (レス) id: 8ae51bebd5 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - マリアさん» コメントありがとうございます!まだまだ先は見えませんがこれからもよろしくお願いします! (2018年7月14日 22時) (レス) id: 7528447bd9 (このIDを非表示/違反報告)
マリア(プロフ) - いつも見させていただいています!まさかこのタイミングで百蘭とは!驚きです!?もしかして、雲雀姉弟の母上でますか?楽しみです!更新頑張ってください(`・ω・´) (2018年7月14日 21時) (レス) id: aef3096be5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜野兎×さにー☆彡 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年7月10日 21時