海の上の流れ星。 (ページ6)

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「そろそろアルコールも回って来ただろうし椅子出そうか」

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忙しそうに料理を盛り付けながら海崎さんが言う。

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「あ、海崎さん料理作っててください。私やっときます」

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「マジ？ごめんありがとー」

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私は隅に寄せていた椅子へとなるべく端を歩きながら向かう。
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それにしてもみんな華やかだ。

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店内の中心に大きなテーブルがあって、そのテーブルを囲むようにしてみんな並んでいる。

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全員芸能関係者なんじゃないかってくらい男女共々洗練されているように見える。

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26歳になってもこんな風に、自分のために集まってくれる友達がいて、盛大にお祝いしてくれる関係性があるって
どんな気分だろう。

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こういうのは芸能人とか関係なく、その人の人柄で決まる気がする。

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つまりこの人は、そういう方なんだろう。

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「手伝うよ。」

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"よいしょ" と私が持っていた椅子を軽々と持ち上げられた。

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その動作とともにできた小さい風に揺られて

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大人の甘い香りが鼻を掠める。

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「あ、ありがとうございます...」

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突然近距離で臣くんに話しかけられて動揺する。

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「でも、主役の方にこんなことさせられないので」

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と平然を装いつつ椅子を奪い返そうとすると

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ひょいと椅子を高く持ち上げられた。

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店内の中心に彼は視線をやり

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「ほら、みんな酔ってるし全然俺がいないこと気づいてない」

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"ね？"と笑顔でこちらに顔を向ける。

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＿＿＿＿＿生まれて初めて、一目惚れというものをした気がする。
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