海の上の流れ星。 (ページ10)

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母が出て行ったあとも、父はひたすら仕事をしていた。

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家事をできない父は私を頼ってきたが、母を一切連れ戻そうとしない様子に腹を立てていた私はとても冷たく当たっていた。

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母が出ていってから2週間ほど経った日、

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いつもなら6時には起きてくる父が、8時になっても起きてこない。

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心配になり寝室に様子を見に行ったら、苦しそうに横たわっている父がいた。

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急いで救急車を呼んで病院に連れて行ったところ、過労による高発熱だと言われた。

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大きな病気などではなかったことに安心したが、同時にとても強い罪悪感が襲って来た。

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父は決して、私と母を放ったらかしにして遊んでいたわけではない。ずっと家族のために仕事をしてくれていた。

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父のおかげで私はこんな生活ができていて、父が私立に入れてくれたおかげで加奈にも出会えた。伸び伸びと学校生活を送れた。

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そんな大事なことも忘れて父に冷たくしていたことをとても後悔した。

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そしてひょんなことから私は、離婚の決定打は母の不倫が原因だったということを知った。

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そんな家事もなにもできない父を置いて留学に行きたいとは思えず

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私は留学することを辞めたのだ。

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