. ページ41
.
ゆっくりと進み始めた車内に、最近流行りの洋楽が流れる。
片手でハンドルを操作するマークは、車に乗っていても私の手を離さなかった。
指を絡めては、時折親指で私の手の甲を撫でるせいで、そこがじわじわと熱を持ちはじめる。
そうだ、貴方は私にとって可愛い弟のような存在。
＿＿＿そうでなければ、いけないのに。
きっかけは何だっただろうか。
こうやってアタックされるようになって、もうかれこれ3年以上が経つ。
最初は年上の女性への憧れからくる、家族愛に近いものだろうと高をくくっていた。
告白されるたびに断っていたけど、何度も伝えられるうちにどうやら彼は私のことを恋愛対象としてみていること、本気だということに気がついて頭を抱えた。
決して子ども扱いしているわけではない。
ただ、マークにはきっと私よりもよっぽど美人で器量もあって素敵な子がいるはずだと思ったから。ましてや芸能界ならなおさら。
「だったら、姉さんがそういう人を連れてきて。
それでも俺はA姉さんを選ぶよ」
でも、熱を隠し持った瞳でそう言われてしまったら、もう私に打つ手はなかった。
賢い彼に同じ言い分は通用しなくて、告白される度に断る理由が一つずつ潰されていく。
そして何より問題なのが、彼からストレートに伝えられる愛の言葉に、だんだん私の気持ちが傾いているということだった。
『......マークは忙しいでしょ。私なんかに時間使わなくったって』
「そんなことないよ。それに、」
「姉さんが俺のものになるなら、なんだってする」なんて言われてしまえばもう逃げ場なんてない。
溶けるような甘い声音はいつだって私に向けられていて、私もそれを受け入れはじめているのが、1番厄介だった。
あぁ、早くマークに素敵な人が現れたなら。
でもそれよりも、私が落ちるほうがずっと早いんだろうと、頭のどこかではもう分かりきっていた。
だから、今はただ運転する彼の横顔をじっと見つめて。
私の手を握るその指に、ほんの少しだけ力を入れて握り返した。
「......姉さん」
『なぁに』
「ほんとにずるいね、昔から」
『え？』
「正直、手元が狂いそう」
『ちょっと、ちゃんと集中してよ』
「うそうそ」
マークはけらけら笑いながらも、繋いだ手をより一層強くして離さなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1084人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソヨン(プロフ) - ベニさん» 全然ゆっくりで大丈夫ですありがとうございます😭😭 (2023年2月5日 22時) (
レス) id: 554508b1f5 (このIDを非表示/違反報告)
来世はインジュン嫁(プロフ) - ベニさん» はい‼︎社会人設定です‼︎それでおっちょこちょいなのが主はムカついてるっていう感じです((注文多くてすみません (2023年2月5日 22時) (レス) id: 7a49e70698 (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - ソヨンさん» ありがとうございます！ヘチャン(feat.ジェミン)で承知しました🫡 上手く書けるか分かりませんので、期待せずお待ちください〜！🙇🏻♀️ (2023年2月5日 21時) (レス) id: 5981244a76 (このIDを非表示/違反報告)
ベニ(プロフ) - 来世はインジュン嫁さん» ありがとうございます！社会人(仮)ロンジュンですね？笑 かしこまりました！他のお話優先になったり、時間がかかるかもしれません💦気長にお待ちくださいませ....！ (2023年2月5日 21時) (レス) @page48 id: 5981244a76 (このIDを非表示/違反報告)
ソヨン(プロフ) - リクエスト失礼します❗️一般人設定で、会社の飲み会で彼女ちゃんが酔っぱっらって同僚に介抱されてるのを見た彼氏ヘチャンにめっちゃ嫉妬されるっていうお話読みたいです😭同僚はジェミン希望です‥♡よろしくお願いします! (2023年2月5日 12時) (レス) @page45 id: 79391e5dc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ベニ | 作成日時：2022年12月29日 22時
