王子とめんへら (ページ4)

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におうのめんへら彼女ページ4

「徠夢、また指いじっとるぜよ」
「え？」

隣に立つ徠夢のするりと手を握る。彼女の指先に、爪で何度もささくれや皮をいじった跡が残っていた。

「ごめん、外にずっと居たら乾燥しやすくて」
「そうなる前にハンドクリーム塗れって言ったじゃろ」

バッグに放り込んでいたハンドクリームを取り出す。徠夢の手にクリームを出して、白い手に塗り込んでいく。ずっと外に居るから、体温が感じられないくらい冷たくて、手のひらも白い。

「いい匂い」
「そりゃあ良かったぜよ」

これでよし、とハンドクリームの蓋を閉めて、ジャージのポケットに突っ込んだ。

「ねえあの魔法掛けてよ」
「しょうがないのう……」

よう見ときんしゃいと念を押して、徠夢の片手を取る。ほんの少しの願いと愛を込めて呪文を唱える。

「ちちんぷりぷり……」

仕上げに手の甲に軽くキスをしてやれば、徠夢はきゃあきゃあと子供みたいに笑った。

「お前さん、ほんにこれが好きやのう」
「だってまーくんにキスしてもらえるんだもん」
「キスなんていつでもしちゃる」

「仁王くん、朽葉さん。仲睦まじいことは大変良いですが……そろそろ真田くんに怒られますよ」
「ぷりっ」
「ぴよぴよ」
「こちらに分からない言葉で話すのは止めて頂けませんか」