３８ダメな私 ページ41
一方的に切ってしまった。
敬語を外そうって言った彼が、いつになく畏って話すものだからなんだか緊張で胃がピリピリした。
生徒達も今から始まる体育祭にこんな感じの緊張感で挑むのだろうか。
………どうしよう……嫌われたかもしれない。
彼は折角、多忙な中、態々電話を掛けてくれたのにこんな切り方して最低だ私。
会うのが怖くなってきた。鷹見さんへの恐怖じゃない、彼にこんな私を拒絶されるのが怖いんだ。
醜い私、可哀想だ。
あの事件からモヤモヤしたものを抱えてきた。伝えられなかった事と自分の無力さ。
彼に助けてもらえなければ何も出来なかった。
礼儀のある鷹見さんの事だから私を拒絶するにもしっかりと話しておきたいのかもしれない。
この恋は終わりだ。
数分前に戻れるなら中途半端に電話を切った私を叱ってこの小さな後悔を消そう。
過去になんか戻れやしないけど。
仮眠室から彼らの戦いを見た。
まだまだ純粋な彼ら。昔も私は純粋だったのだろうか。大人になって恋をするのは難しい様だ。
今のうちに青春しときなよ。
毎年体育祭で目立つのはヒーロー科だけど今年はシンソウ君という子が緑谷君と良い勝負をした。
対人戦闘向きだとヒーロー科の入試はキツかった、という理由なら普通科なのも納得がいく。
私は彼らの成長を見ている時も携帯を握り締めたままだった。手を離すと、鷹見さんまで離れていってしまう様な気がした。
みんな凄かった。…だけど頭に入ってこない。
みんなの成長見るって言ったのに。
彼が絡むと私は振り回されて普通じゃなくなるみたい。
鷹見さん、私貴方が絡むと可笑しくなっちゃう。
体育祭の後、疲れたであろう彼らの元には寄らなかった。彼らの為、といった言い訳をして、本当は自分の為だ。どこまでクソなんだか…
鷹見さんも体育祭見てるのかな。
一緒に見たかった、なんて思う自分。
気持ち悪い。
今日はお酒を呷ろう。失恋酒だ。彼と連絡を取ってから飲もう。
人生初の失恋はお酒が弱い私が欲する程大きなものらしい。こんなとこ生徒に見られたくないや。
お父さん、お母さん。
こんな娘でごめんなさい。私は心まで完全なヒーローじゃないみたいです。
両親に心の中で謝罪を漏らす。
私ってダメな人。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
湯葉(プロフ) - 続き楽しみです！ (2020年4月25日 21時) (
レス) id: 8a4439c68e (このIDを非表示/違反報告)
みん - サイドキックさんのキャラが好きです(笑)体調に気を付けて、更新してください。待ってます！！ (2020年4月8日 18時) (レス) id: d0213f078c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むすび。 | 作成日時：2020年3月29日 21時
