２１ありがとう ページ23
早くしろ…‼早く…………‼
早く直さなきゃ死んじゃうんだ…………‼
天使はなんて魔法を使えない。魔法に近い技術は持っている。基本的に学校と呼ばれる機関で習う回復の術。
発動条件は治したい相手のどこかに触れていなければならない事。だからガイアは今心中で謝罪をしながら男の手を握っていた。
治せ、治せ、治せ…‼今私がどうなろうと構わないから兎に角早く彼の体を修復して…‼
血が足りない…これじゃ体に修復術が回りきらない…‼私の血を使え…‼
ガイアは自身の血を使い、寝る間も惜しんで彼を治した。ベッドに付いた紅い染みが乾燥で濃くなる。
疲労と貧血で覚束無い体をなんとかソファに運んだガイアは倒れ込んで眠りに付いた。その3時間後に目覚めた彼女は起き上がって男に布団を掛け直した。
『おやすみなさい。』
小さく声を掛けてまた眠りについた。
翌朝、ガイアが起きた時には男はいなかったが掛けてあった布団が丁寧に折り畳んでちょこんと置いてあった。
ガイアは眠たい目をこじ開け微笑した。
その日の昼頃バサバサと音を立てて、黒い男は庭に降り立ちガイアの元に駆け寄った。
「あの時は手を振り払って済まなかった、ごめん。俺のせいでアンタは怪我をした。なのに俺を治してくれてありがとう。手、大丈夫だったか？見せてくれ。」
優しい声…本当にこの人は悪いと思ってるんだ。
『大丈夫ですよ。まだ痛みますか？』
「いや、平気だ。ありがとう、アンタは優しいよ。俺なんかとは違って。俺はアトラス、地獄から来たんだ…」
やっぱりそうなんだ。
日に当たって黒光する羽は昨日の手当てで綺麗に戻っていた。ガイアはそれを見てほっと肩を撫で下ろす。
『そうなんですか…私はガイア、宜しくお願いします』
「…………気にしないのか？俺が悪魔って分かってるんだろ？」
『…ええ、まぁ。分かってましたけど、それが貴方を跳ね除ける理由にはならないかなって…』
もしかして、嫌だった？
「初めてだよ、そんなヤツ。ガイアは優しいんだな。」
『優しくは無いわ。これくらいしか出来る事ないもの』
「又来ていいか…？……あ、…嫌だよな、なんでもない。ごめん…」
『嫌じゃないよ、でも見つからない様にね。今度は治せないかも知れない。』
「分かった…本当にありがとう。今度会おう、じゃ。」
去り際、ほんの少しだけ…微笑んだ気がした。
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湯葉(プロフ) - 続き楽しみです！ (2020年4月25日 21時) (
レス) id: 8a4439c68e (このIDを非表示/違反報告)
みん - サイドキックさんのキャラが好きです(笑)体調に気を付けて、更新してください。待ってます！！ (2020年4月8日 18時) (レス) id: d0213f078c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むすび。 | 作成日時：2020年3月29日 21時
