朽ちた旧校舎にて all 延長戦 ページ10
私は胸の高鳴りを何とか抑えながら、机に置かれた赤い腕章と分厚いノート2冊を胸に抱き、元生徒会の皆さんの拍手と笑顔に背中を押されて、ドアノブに手をかけた。
｢絶対に、建て直します！｣
振り返って見たグルッペンさんの頬には一筋の涙が流れていた。
目を開ければそこは、知らない所だった。
いや、知っている。旧校舎だ。しかし見渡す限りの煤、焼け跡。さっきまで綺麗だったのに。あれ？おかしいな。さっきまで触れていたドアノブを見ようと振り返る。生徒会室だったはずのドアは焼け落ちていて、ドアノブなんて存在しなかった。いや、確かに私はグルッペンさんと、生徒会の皆さんと話したはず…。ふと胸に抱きしめている物に視線を移した。
赤い腕章
生徒会活動と記された分厚いノート
ナイショの本と可愛い題名の書かれたノート
あぁ。本当の事だったんだ。煤を払ってもう一度抱きしめる。
そして、腕章に左腕を通した＿＿＿＿
｢西村さん〜。取ってきた〜？｣
翌日、登校いちばんに声をかけてくださったペ神先生。
｢ええっと、生徒会活動とナイショの本でしょうか？｣
何時もはゆるっとしている先生の目が見開かれた。
｢…え？西村さんどうしてそれを？｣
｢どうして…。私も分からないんですが、一つだけ分かることがあります。託されたんです。前生徒会役員の皆さんに。｣
｢…そっか。西村さん、いや生徒会長。これからどんな活動をされるんですか〜？｣
｢まずは、3年生のチーノさんとショッピさんに、会ってお話してきます！｣
私はカバンから腕章を取り出し、左腕を通した。
｢…本当に託されたんだね。…生徒会長〜！顧問僕立候補しま〜す！｣
｢元よりお声がけするつもりでしたよ。これからよろしくお願いしますしんぺい神先生！｣
反旗は立ち上る。それに鼓舞され、周りも。
＿＿高校が生徒会選手権に出場するのはまた別のお話。
＿＿＿＿＿＿＿＿
｢やーいグルちゃん泣いてやんの！｣
｢トン氏もな。｣
｢なすりつけんといてくれます？｣
｢あれは高く売るつもりだっためぅ…。｣
｢マンちゃんは強かだなぁ。｣
｢鬱軍団長だけ取り残されてるやん！｣
｢コネシマうるさい。｣
｢あの子ロボロより大きかったで！｣
｢シャオロンやかましい。｣
｢シャオロンより人気者になりそうやな！｣
｢あ？やんのかゾム！｣
｢まぁまぁ、仲良くしましょうよ。｣
｢あん？やんのかエーミール！｣
＿＿＿＿旧校舎にて fin
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メメントモリ(プロフ) - 黎明さん» 黎明さん、コメントありがとうございます！そう仰って頂けて嬉しいです！今後ともよろしくお願いいたします。 (2021年8月18日 23時) (
レス) id: 8b496c2d67 (このIDを非表示/違反報告)
メメントモリ(プロフ) - ゆうなさん» ゆうなさんコメントありがとうございます。楽しんで頂けて嬉しいです！ありがとうございます。今後もよろしくお願い致します。 (2021年8月18日 23時) (レス) id: 8b496c2d67 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - 素敵で、読み終えた後に何処か隙間風が吹き抜けた後の心地を感じました。どの作品も良かったです…！！！ (2021年8月18日 12時) (レス) id: e1d9bdb874 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 主様の短編集は初めて見たのですがとても面白く、何度見ても飽きない程でした。本題に入りますが私の好きなお話はやはり朽ちた旧校舎ですかね、あの皆が居るところを想像しながら読むのはとてもわくわくし、その場にいるかのような気持ちになりました！ (2021年8月17日 1時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
メメントモリ(プロフ) - キキョウさん» コメントありがとうございます。旧校舎の続編はなかなか筆が進まない為、Twitterの方でゆっくり更新しようかと考えております。これからも我々怪奇譚よろしくお願い致します。 (2021年4月25日 1時) (レス) id: 8b496c2d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メメントモリ | 作成日時：2019年9月12日 20時
