後ろの正面rb ページ14
学校の門を無理やりよじ登り、鍵もかかっていない校内へ入り込む。
真っ暗な校内は、いつもと違う空気が漂っていた。
「大丈夫か？」
気にかけてくれる＿＿＿に、大丈夫と返す。ずっと私を庇うように立ってくれる彼に、恋をしているのは永遠の秘密だ。
件の階段を少し昇った先の大きな鏡の前に立つ。
ガキ大将達は、何も割るものを持ってこなかったらしく、私の懐中電灯をひったくり、鏡に当てた。
「おい！何してんねん！」
大きな音を立てて割れた鏡。
ガキ大将に、対抗する＿＿。
「Aが割ったんだ。見たよな？お前ら。」
取り巻きが見た！と声を上げる。呆れた＿＿は、私の手を取り踵を返す。
ガキ大将が声を張り上げ、鬼さん鬼さんおいでくださいと唱えた。
＿＿＿＿刹那、昇降口から見えている月が赤く染った。
振り向けば割れた鏡から、同い歳くらいの子供が出てきた。
その双眸は憎しみに染まっており、爪は長く、牙も生えていた。
「逃げるぞ！A！」
放心している私を半ば引きずって昇降口の扉に手をかける＿＿＿。
「は？！開かへん！！なんでや！さっきまで開いとったやろ！」
押しても蹴っても開かない扉に痺れを切らしたのか、別の出口を探す。
鬼がこちらを向いた。
赤い瞳が、こちらを向いて離さない。
鬼の口が動いた。
「お ん な じ」
「A！しっかりせぇ！」
＿＿＿と目が合う。その瞬間我に返り、全身に恐怖が広がった。
「絶対家に帰んで、ええな？」
その言葉に頷いた。また彼の強さに鼓舞された。
必死に足を動かし、保健室へと倒れ込む。
「っはぁ、まいたか？A大丈夫か？」
「大丈夫、だよ。＿＿は大丈夫？」
大丈夫や。そうニカッと笑う顔に安堵する。
かなり走り抜けたおかげか、バクバクと動く心臓と、近くにある＿＿＿の顔。
顔が赤いのは、走ったせいだ。多分。
保健室を見渡す。
どこかに出口があるはずだ…。
救急箱、3つならんだベッドに病状を記入する紙が置かれた机。
そして、校庭に面した窓は、人が出入り出来るほどの大きさの窓が左側に1箇所あった。
その扉の正面左側に、手洗い場と鏡。
多分校庭で怪我した人を直ぐに診れる様にだろう。
そこから出ようと、＿＿＿に声をかける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メメントモリ(プロフ) - 黎明さん» 黎明さん、コメントありがとうございます！そう仰って頂けて嬉しいです！今後ともよろしくお願いいたします。 (2021年8月18日 23時) (
レス) id: 8b496c2d67 (このIDを非表示/違反報告)
メメントモリ(プロフ) - ゆうなさん» ゆうなさんコメントありがとうございます。楽しんで頂けて嬉しいです！ありがとうございます。今後もよろしくお願い致します。 (2021年8月18日 23時) (レス) id: 8b496c2d67 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - 素敵で、読み終えた後に何処か隙間風が吹き抜けた後の心地を感じました。どの作品も良かったです…！！！ (2021年8月18日 12時) (レス) id: e1d9bdb874 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 主様の短編集は初めて見たのですがとても面白く、何度見ても飽きない程でした。本題に入りますが私の好きなお話はやはり朽ちた旧校舎ですかね、あの皆が居るところを想像しながら読むのはとてもわくわくし、その場にいるかのような気持ちになりました！ (2021年8月17日 1時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
メメントモリ(プロフ) - キキョウさん» コメントありがとうございます。旧校舎の続編はなかなか筆が進まない為、Twitterの方でゆっくり更新しようかと考えております。これからも我々怪奇譚よろしくお願い致します。 (2021年4月25日 1時) (レス) id: 8b496c2d67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メメントモリ | 作成日時：2019年9月12日 20時
