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第8話 ページ9

煉獄杏寿郎side





『やめて下さいっ…やめて、もうやめてっ‼』

Aの声が頭の中で木霊する。

『あなたは…まだ生きなくてはならないんです。分かって下さいよ…っ』

泣いている姿が脳裏をよぎる。



そういえば、君を守って泣かれる事は少なくなかったな。

俺の体に多少傷がついたくらいですぐに泣いていた。

誰よりも優しい君の涙を俺は、幾度となく見た。









「炎の呼吸 奥義 玖の型 煉獄」

奥義、というだけあって他の技とは比べ物にならないほどの力を持つ、この技を放つ。


『杏寿郎さん…』

Aはもう、泣いていない。

その代わり、酷く苦しそうな顔をしている。

気付くと、猗窩座の腕が俺の腹を貫通していた。




「死ぬ…‼死んでしまうぞ、杏寿郎。鬼になれ‼鬼になると言え‼お前は選ばれし強き者なのだ‼」




猗窩座の言葉に細胞が昔の記憶を呼び起こす。

母上が生きていた頃の記憶だ。






人よりも強く生まれた俺は、弱き人を助けるためにその力を使わねばならない。

人を傷つける事、私服を肥やすことは許されない、と母は口癖のように言い聞かせていた。



そして、俺を抱きしめ、俺の母に慣れて幸せだったと何度も伝えてくれた。






“しかし、あまり根を詰めすぎずに。いつか必ず幸せになって下さい”

母上。

俺は十分幸せでした。

Aという立派な妻を貰い、幸せな時を過ごしました。

子も出来ました。

残念ながら、顔を拝む事はできませんでしたが、きっと優しい子だったと思います。

あなたにもいつか、紹介したかった。

母上、俺の方こそ、貴女のような人に産んでもらえて光栄だった。







「オオオオオオオ‼」

体の隅々の筋肉を余す事なく使い、刀に集中させる。

刀が猗窩座の首に食い込んで行く。


そんな俺の手を止めようと、左拳が俺の顔面へ向かい、放たれる。

その拳を左手で受け止める。



これ以上怪我を増やしてしまえば、死んでしまうかもしれない。

いや、もう、死んでしまう可能性は十分にあるのだが。



夜明けはもうすぐだ。

せめて、それまでこいつをここに引き止めていられれば、殺せる。

腹に力を入れて、右腕も固定する。






絶対に逃さない‼

こいつは俺が今ここで、倒すべき鬼だ。

「オォォオオオオ‼オオオオオオアア アアア‼」


絶対に放さん。

「オオオオオオオ」

お前の頚を切り落とすまでは‼

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スノードロップ(プロフ) - ユリさん» 最後まで、お付き合い有難うございました!続きですね…!?頑張らせていただきます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。出来れば続きがみたいです (2019年12月11日 1時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - ツバサさん» とりあえず、話の流れと大まかな物語は書いているので、更新ペースを上げられれば、と思います!頑張らせていただきます! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この後の展開が気になり過ぎて待ちきれません。更新頑張ってください (2019年12月9日 4時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - サクラさん» 有難うございます(*^-゜)vThanks!更新ペースは、遅いですが、最後まで見てくれると嬉しいです! (2019年12月2日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノードロップ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月17日 0時

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