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第6話 ページ7

煉獄Aside





彼が誰よりも強く、誰よりも私の事を考えてくれたのは、私が一番よく知っている。









その証拠に、私は彼に幾度となく助けられた。

面倒をかけて、心配をかけた。


それなのに、私は彼に何一つ返せないまま死んでしまった。

彼は、君のおかげで幸せだとよく言ってくれたけど、どうしても私はそうは思えなかった。





彼に助けられ、彼の体に傷がついたことがあった。

千寿郎君を守れなかったことがあった。

彼の子も、私が殺してしまった。

子を身籠っていた私が自害ということは、私の命だけではなく、小さくてか弱くて守られる存在であるはずの命を消すということなのだ。



だから、どうか私を恨んで欲しかった。

私を恨んで、私の事を忘れて、他に何も望まないから、どうか貴方に幸せになって欲しかった。

それが、子すら残せなかった私の最後の悪あがきだった。

それなのに…。









忘れて欲しく無いと思ってしまった。

彼が私を忘れ、他の女との子を愛でて、慈しんで、そんなの…考えたくなかった。





自分の醜い感情が顕になる。

彼と一緒にいたい。

彼を独り占めしたかった。

誰よりも私を見て、誰よりも私を愛して欲しかった。



出会ったのはお見合いでだったけれど、私たちは誰よりも幸せだったと思うから。


だから、山のようなゴミが溜まっている隅の方でも我慢するからどうか覚えていて欲しい。

あの幸せな日々をなかったことにはしないで欲しい。

忘れられる決心が私はまだ、できていないから…。









でも良い加減、決心はしないといけない。

彼をこの世界にとどめておいてはいけない。

助けに行かないといけない。

大事な後輩、らしい。




「行ってください」

行かないで…。

「その竈門君、助けに行かないといけないんでしょう?」

私を助けてよ。



自分の心に鍵をかけて、封印するから…。


我慢するから…。



行って…。

優しく彼の背を押し、真っ黒な暗闇の中へと誘う。





「愛しています。さようなら」

決して組み合わせていけない言葉を組み合わせ、静かに頬に伝わる涙を正直に受け止めた。

私は泣いている。

何故?

杏寿郎さんに会えたから。

杏寿郎さんにあってしまったから。

理由はいくらでもある。

でもその全部に杏寿郎さんがいるんだ。

それくらい私の中で彼は大きな存在だったんだ。



私は、その場に泣き崩れた。

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スノードロップ(プロフ) - ユリさん» 最後まで、お付き合い有難うございました!続きですね…!?頑張らせていただきます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。出来れば続きがみたいです (2019年12月11日 1時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - ツバサさん» とりあえず、話の流れと大まかな物語は書いているので、更新ペースを上げられれば、と思います!頑張らせていただきます! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この後の展開が気になり過ぎて待ちきれません。更新頑張ってください (2019年12月9日 4時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - サクラさん» 有難うございます(*^-゜)vThanks!更新ペースは、遅いですが、最後まで見てくれると嬉しいです! (2019年12月2日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スノードロップ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月17日 0時

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