第12話 ページ13
煉獄杏寿郎side
「久しいな、少年達。元気なようで何よりだ!」
「煉獄さんもお元気そうで…」
竈門少年達は五体満足の元気な様子で俺の元へやってきた。
「煉獄さんは何度か心臓が止まったって聞いて、しのぶさんから聞いてて心配したんですけど、元気そうで本当に良かったです」
少年が安心したように柔らかく微笑むものだから、少し罪悪感が湧いた。
こんなに心配をかけたのに俺は死のうとしていたのか、と。
あの時、Aに助けて貰えて本当に良かったと思った。
何度も何度も彼女に会いに行ったが、その都度強く追い返された。
最後の言葉にはびっくりしたが…。
『来るな!もう、戻れ!』
眉を吊り上げた、顔を顰めて俺を突き放したその言葉の裏にいくつもの葛藤があったことを俺は知っている。
先日、夢に母上が出てきた。
『杏寿郎。貴方はまだ生きるべきなのです。それをAさんは分かっているんです。ですから、Aさんのことだけは恨んではいけませんよ』
俺を嗜めるように、抱きしめながらいうとサヨナラの一言すら残さずに消えていった。
母上の黒髪とAの黒髪が重なり、また泣きそうになってしまったのも鮮明に覚えている。
Aの目の中に怒りと同時に、見てられないほど多くの悲しみがあったというのに、俺はそれに気がつかなかったんだ。
少年はこちらを覗き込んだまま、未だ自分のことのように安心した表情を浮かべている。
「妻が、こちらに戻してくれたんだ…」
無くなってしまった自分の左目を撫でながら、つぶやくようにそう零す。
「俺の聞き間違いじゃないよね⁉今煉獄さん、妻って言ったよね⁉奥さんいたの⁉えええええええ⁉炭治郎嘘だよねぇえええぇぇぇ⁉」
俺に妻がいることがそんなにも意外なのだろうか?
黄色い少年は竈門少年の肩を、首がもげるんじゃないかというほどに強く揺さぶりながら発狂している。
そんな黄色い少年を軽くあしらい、俺の方を向いた竈門少年は首を傾げながら、俺に問いかけてきた。
「へ〜。煉獄さん、奥さんがいらっしゃったんですか。どんな方なんですか?ぜひ、お会いして見たいです」
「すまない、少年。妻はもう、逝ってしまったんだ」
話そうか。
Aの最後の話を…。
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スノードロップ(プロフ) - ユリさん» 最後まで、お付き合い有難うございました!続きですね…!?頑張らせていただきます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。出来れば続きがみたいです (2019年12月11日 1時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - ツバサさん» とりあえず、話の流れと大まかな物語は書いているので、更新ペースを上げられれば、と思います!頑張らせていただきます! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この後の展開が気になり過ぎて待ちきれません。更新頑張ってください (2019年12月9日 4時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - サクラさん» 有難うございます(*^-゜)vThanks!更新ペースは、遅いですが、最後まで見てくれると嬉しいです! (2019年12月2日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
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