第14話 ページ15
Noside
「わあああああああ」
突然聞こえて来た悲鳴はAの足を止めるには十分過ぎるほどのものであった。
少年のような少女のような、甲高いその声は辺り一帯にぼんやりと広がっていった。
赤い番傘を少し上げ、周りをしばらく見渡すが何も無く、誰もおらず…。
ただただ、真っ白い雪景色の道が続いているだけなのである。
「お願いぃ‼助けてえぇえええ‼」
立て続けに聞こえて来たものは少し低い女性の声だった。
「いやあああ!離してぇぇええ‼」
その次は、自分と同世代くらいの女の子の声であった。
流石に異変を感じ取ったAは、辺りを注意深く見渡す。
しかし周りはやはり雪に覆われていて、声の主を探し出すのは非常に困難なのだ。
「いやっいやっいやっ‼」
耳を澄ます。
人並みの聴覚をこれ以上無いほど使い、場所を探す。
「ああああ‼」
立て続けに聞こえてくる声に自身の耳が悲鳴をあげているのを無視しながら、集中する。
「誰かぁ‼」
聞こえて来たのは先の分かれ道の方で生い茂っている林の方からなようだった。
走りにくい体を必死で動かしながら、息を切らして林に駆け込む。
駆け込むとそこに見えたのは、親子だろうか、母らしき女性と千寿郎ほどの少年にAより少し小さな少女がいた。
「鬼⁉」
Aが目にしたのは、少女を押し倒した鬼が腕を食い千切ろうとするところだった。
女性は離れた所で顔を歪めながら、それを見つめ、少年は女性を支えるのに手一杯なようだった。
赤い番傘を振りかざし、鬼に向かって振り下ろす。
予想外の攻撃に鬼が怯んでいるその隙に、少女を引っ張り女性と少年の元まで走る。
危機一髪だったが、少女の腕は繋がっており、かすり傷が少々ついただけであった。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけねえじゃんかよ‼母ちゃんも姉ちゃんも怪我してるじゃねえか‼なんでもっと早く来てくれなかったんだよ‼」
「こら、やめなさい」
女性の制止を振り切って、少年はAに詰め寄る。
母、と呼ばれる女性は遠目では気づかないような、大きな傷跡を背中に負っていたのだ。
Aは、少年の肩に手を置き、嗜めるような口調で言葉を紡ぐ。
「ごめんなさい。後でお詫びはちゃんとしますから、とりあえず、逃げっ」
その瞬間Aの体は弾き飛ばされ、背中から木にぶつかった。
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スノードロップ(プロフ) - ユリさん» 最後まで、お付き合い有難うございました!続きですね…!?頑張らせていただきます! (2019年12月11日 1時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。出来れば続きがみたいです (2019年12月11日 1時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - ツバサさん» とりあえず、話の流れと大まかな物語は書いているので、更新ペースを上げられれば、と思います!頑張らせていただきます! (2019年12月9日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この後の展開が気になり過ぎて待ちきれません。更新頑張ってください (2019年12月9日 4時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ(プロフ) - サクラさん» 有難うございます(*^-゜)vThanks!更新ペースは、遅いですが、最後まで見てくれると嬉しいです! (2019年12月2日 7時) (レス) id: 4bbeb34f3b (このIDを非表示/違反報告)
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