引退した牛島君と私。 (ページ22)

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「Aの様子がおかしい」

そう言いながら若利くんは食堂のハヤシライスを頬張る。よく同じものばかり食べて飽きないな～と思うが、まあそれが若利くんだ

「様子がおかしいって？」

「ああ、今日もAの教室に行ったのだが、もう出ていったと言われた」

「あー」

Aちゃんと若利くんが鍛治くんに呼ばれたのは、もう１週間も前のことだ。その時、二人の間で何があったのかは知らないが、何かあったことは確かだ。

だって、あの若利くんが避けられている

学校生活では俺たちと関わりを持つことを嫌がっていた彼女が、あの若利くん爆弾発言事件以降(俺たちが勝手に読んでるだけだけど)、若利くんの猛烈なアタックにより、Aちゃんは俺たちと行動することが増えた
それは別に悪いことではない
寧ろ喜ばしいことだ

彼女が若利くんの近くに居れば
それだけど若利くんの周りには花が咲く

表現がおかしいって？

いや、間違ってはいない。本当にそうなのだ。
若利くんはAちゃんが傍にいるときだけ、その誰もが圧迫されそうな雰囲気が和らぐ

それに

みんな、何だかんだ言って、若利くんが大好きだ

だから彼が彼の気持ちに気付いたのを知って、バレー部全体で協力することにした。

Aちゃんも若利くんも気づいていないが、俺たちバレー部員が二人を引っ付けようとしているのは、学校の誰もが見ても、分かりやすすぎた。