第三話 ページ5
受付終了と同時に、今回の試験を取り仕切るであろう海兵の所に試験参加者がぞろぞろと集まり始めた。それに続く様に海兵の声が聞こえる所まで移動して、簡単な試験内容の説明を聞く。試験は持久走、筆記テスト、実技演習の計三種類行われる。その中で二つ合格ラインを越したものを合格者として入隊を許可するというものだ。何ともオマケと言うか、随分とまぁ、楽な試験にもほどがある。
持久走は海兵としてやっていく上での最低限の要素で、合格することは必須だ。そして筆記と実技だが、これは得意な分野で合格すればいい。実力がなければ筆記で、学力がないなら筆記で、自分の全てを出し切ればいい。脳筋や堅物でも合格できる、優しいことだ。本来ならすべて合格で入隊許可を出したいんだろうが、それでは人が足りないんだろう。
「それでは早速持久走を開始する！全員着いて来い！」
『行こう、メロウ』
「はい」
先導する試験官の後を追う受験生の塊の少し後ろを追う。ちょっとあの集団の中はむさくるしくていやだ。私の考えていることがわかっている様で、セイルは私の隣をゆっくりと歩いている。しばらく歩くと広いグラウンドに出て、そこには白線で恐らく一周４００ｍのトラックが書かれていた。
「今からここを３０周してもらう！合格者は先着順で２０名とする！それでは全員スタート位置につけ！」
試験官がそう声を上げるなり、我先にと小走りでスタート位置に向かっていく受験生たちを見送り、私たちはゆっくりと集団の後ろに着く。受験者数は全部で４４名。大体半分が合格って事だ。やはり甘い。
ピストルの音と共に駆けだした受験者たちの背をボーっと見ながら私も走り出す。あまり飛ばし過ぎても後が持たないし、そもそも本気出さなくても合格できるだろう。あとは周りの様子とか見ながらちょいちょい調整すればいい。あまり目立ちたくないから平均を行こう。セイルも同意見なのか、私と並走している。いや、これは同意見と言うより、私の隣を走っているだけだな。
『メロウ、平均で行くよ』
「貴方ならそう言うと思ってました。好きなようにしてください。俺はそれに付いていくだけですから」
『かっこいいね…一回言ってみたいわ、その言葉』
「言わないでください。その時は貴方が誰かの元に付き従う事になるんですから」
『海軍に入ったら将校たちに従わなきゃいけないんだけど？』
「それは組織としてなので仕方ないですが、さっきの言葉はダメです」
『我儘』
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サイレ - もっと早く見つければよかったぁ〜 前のも見たかった(´･ω･`) けどとても面白くていい作品なので、更新頑張ってください！( ` ･ω･´)ゞ (2018年8月14日 21時) (
レス) id: bd83451188 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 続きをお恵みくださいぃぃぃぃぃ (2018年6月23日 1時) (レス) id: 8f142429c4 (このIDを非表示/違反報告)
カイ - 頑張ってください (2017年4月7日 15時) (レス) id: 41ae0ea02a (このIDを非表示/違反報告)
黒い鉄格子(プロフ) - 一話から一気読みしてきました！wとても面白かったので、お気に入り登録させていただきました！更新頑張ってくださいね！ (2016年9月11日 13時) (レス) id: 1317c64b8e (このIDを非表示/違反報告)
サクラン - 今日読みました〜おもろんでしたぁ！ さいしんおわたのかなぁ……… (2016年2月11日 23時) (レス) id: 1bdc6b786d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：珀影 | 作成日時：2014年5月21日 0時
