プロローグ ページ1
真っ暗な地下への階段を、手元のカンテラで照らしながら一歩一歩地下へと降りていく。コツリコツリと響く足音を出来るだけゆっくり静かに歩いていく。あまり早足だとあの人達が怯えてしまうから。
階段を下り終えたら見えてくる巨大な鉄の扉の両側に付く衛兵に目配せして扉を開けさせる。ギギギと金属の嫌な音を響かせる。軽くお礼を言って中に入れば、そこは格子がズラリと並ぶ地下牢獄が広がっていた。真っ暗な地下牢を突き進み、目的の牢の前で足を止める。チャリッと鎖の擦れる音がして、続いてズルズルと引きずる音が地下牢に響く。そしてカンテラの灯が届く範囲まで来ると、繋がれていた人は口を開いた。
「…出るんですか？」
『うん。父様からの許可も得た。あとは力をつけるだけ。だから、一緒に行こう、セイル』
「勿論。貴方様がそれを望むなら、俺は付き従うだけです」
牢の中にカンテラを持つ手とは逆の手を差し出せば、その人…セイルはそっと手を取ってくれた。握手を交わして、牢の鍵と手足の枷の鍵を開けてセイルを解放する。手足首を回して感覚を確かめるセイルを黙って見守っていると、問題ないようで頷いて膝を折り片膝をついた。
「A様、御命令を」
『一緒ににこの忌々しい風習をぶっ壊そう』
「黒豹のセイル、A様に忠誠を誓います」
『うん、頼りにしてるよ、セイル』
そう言って微笑めば、セイルも穏やかな表情を見せてくれた。マリージョアに来たときは本当に手を付けられない程荒れていたが、毎日様子を見に行ったり話をしに行った。やっぱり最初は無視されたし殺されかけたこともあったけど、一年二年と月日を重ねていくうちに心を開いてくれるようになった。そして、ここを出るときには私の共として守ってくれると言ってくれるまでになったのだ。その時は本当に嬉しかったし、今でもその嬉しさと心強さは変わらない。
『まずは力を付けなきゃね。一年位どっかの無人島で野宿特訓しようかな…』
「天竜人が野宿とか…一般人や海兵が聞いたら卒倒しますね」
『そう？でも変えない。私はここを出たらただの人になる。天竜人なんかじゃない』
「わかってます。あくまで例えでの話ですよ」
これからの話をしながら地下牢を後にする。勿論衛兵に門を閉めさせるときにお礼は言った。適当に荷造りして外に出れば、自由な世界が広がっている。
ここからは死闘だ。私と天竜人、どちらが滅ぶのが先か。
一瞬も足を止めずに突き進み続けるだけだ。
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サイレ - もっと早く見つければよかったぁ〜 前のも見たかった(´･ω･`) けどとても面白くていい作品なので、更新頑張ってください！( ` ･ω･´)ゞ (2018年8月14日 21時) (
レス) id: bd83451188 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 続きをお恵みくださいぃぃぃぃぃ (2018年6月23日 1時) (レス) id: 8f142429c4 (このIDを非表示/違反報告)
カイ - 頑張ってください (2017年4月7日 15時) (レス) id: 41ae0ea02a (このIDを非表示/違反報告)
黒い鉄格子(プロフ) - 一話から一気読みしてきました！wとても面白かったので、お気に入り登録させていただきました！更新頑張ってくださいね！ (2016年9月11日 13時) (レス) id: 1317c64b8e (このIDを非表示/違反報告)
サクラン - 今日読みました〜おもろんでしたぁ！ さいしんおわたのかなぁ……… (2016年2月11日 23時) (レス) id: 1bdc6b786d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：珀影 | 作成日時：2014年5月21日 0時
