6.Atsuto side ページ6
雨は雨らしく地面を濡 らしてほしい
太陽は太陽らしく地面を乾かしてほしい
だから雨上がりに晴れたこんな日の風景は、地面と空のコントラストが大きい気がして昔から好きになれなかった。
彼女と揃いのスニーカーを汚してしまわないように、あちこちに残された泥塗れの水溜りを避けながら走る。
誰よりも先にロッカールームを出て、愛車を飛ばして向かうのは、あの街ー
『どんなイメージでお作りしましょう?』
篤「えっと、プレゼントってゆーか…まぁそんな感じなんすけど。可愛いっていうよりは綺麗なほうで、基本優しいんすけど、実は頑固ってゆーか、」
『…』
篤「怒ると結構怖いんすよね。お姉さん、笑いながら怒る人って見たことあります?」
『…はぁ、』
篤「…まぁ、そんな感じで 笑。とにかくでっかくお願いしやす」
途中で寄った花屋の店員に、例え怪訝な顔で苦笑いされたとしても、大喜びする彼女の顔を想像すれば別に大して気にならない。
< 産休前のラストステージ、是非内田さんが花束を持って迎えてあげて下さい。
もちろん、サプライズで。 松原 >
彼女は驚くだろうか。
突然演奏会に顔を出し、おまけにこんなに大きな花束を渡したら。
篤「ふっ、」
おおよそ想像できる彼女の泣き顔を思い浮かべながら、あの街へと車を飛ばしたー
会場は大通りに面した場所に在った。
見覚えがあると感じたのも当然のことだろう。
この道を一本奥に入った路地裏には、彼女と二人で通ったストレッチ教室が在るのだから。
駐車場には” 満車 ”の文字が表示されていた。
本来なら舌打ちをするところだけれど、それだけの人が彼女のピアノを聴きに集まっているのだと思うと、何故だか俺が誇らしい気持ちになる。
少し離れた場所に在る駐車場に車を停め、泥塗れの水溜りを避けながら歩く。
一歩一歩会場に近づくにつれ、 その光景の” 違和感 ”に少しずつ気がついていったー
ロビーでは何千人の人がひしめき合っていた。
其処には収まりきらず、建物の外にも溢れ出してしまう程に。
此処にいる全ての人が
彼女の演奏を心待ちにしている
でも、
何かがおかしいーー
その異変に気がつくのは容易いことだった。
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ぶたさんなの。(プロフ) - 昨日、今日と2日間かけて一気読みしました笑とても素敵な作品で浮気疑惑のところはやられたーって思ったりピアノの話になるたび私も練習しないとと思わされます笑 この作品は私の中で大好きな作品の1つになりました。 (2015年7月31日 23時) (レス) id: fb6db84d89 (このIDを非表示/違反報告)
おりん(プロフ) - laizさん、返信ありがとうございました!!ヒロインと内田さんの楽しそうな笑い声が聞こえてきそうなシーン…嬉しいな〜!幸せそうな二人を見れて一安心…ここでスカルのベビー服!?内田さんもイカついの着てましたね!思い出して笑っちゃいましたよー(笑) (2015年6月16日 1時) (レス) id: 865a51165f (このIDを非表示/違反報告)
aquayu(プロフ) - 更新楽しみにしていました!希望の光が見えた瞬間、涙がとまらなくなったのは、私だけでしょうか?この作品、本当に本当に大好きです。 (2015年6月5日 22時) (レス) id: ff637bb026 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - おりんさん» 絶望の涙で泣き明かした夜だけど、この先に光が待っていそうな涙ですよね。思いっきり泣いて、何かが浄化してくれたらいいな。ちょっと足踏みしていた二人の背中を、「しっかりしてよ」と押してくれたのかもしれませんね^^そうそう、先程メッセージを送信しましたよ〜♪ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - すみれさん» 「大好き」のお言葉、動揺していた心に染み渡りました^^ありがとうございました。少し迷っていましたが、ようやく希望の光がさしてきた二人の世界、これからも変わらず執筆を続けていこうと思います。二人の、いや、三人の明るい未来、見守ってあげて下さい^^ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2015年2月7日 20時