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47.Atsuto side ページ47

ーー篤「……ん…」






薄い意識の中小鳥たちのさえずりが聴こえた。

ずっしりと重たい瞼を開ければ、眩しすぎる程の光が差し込み思わずまた瞼を閉じる。






体は怠く、節々は寝違えたように痛いのに、何故だか心地良ささえ感じている。



爽やかな朝の音色のせいだろうか。
今まで見ていた幸福な夢のせいだろうか。

それとも、
右手に感じる温もりのせいなのだろうか。






気付けば握り締めたままの赤く腫れた右手は、じわりと汗をかいていた。



一晩中こうしていたのだろうか。

もう目を逸らしたりはしないと、強く優しく握り締めた昨夜のまま。






ーーtrauervoll…



<助けて…助けて、篤人くん>



ーー






白いベッド、白いカーテン、ぽたん ぽたんと落ちる点滴の音。

ようやくはっきりしてきた意識の中、思い出すのは肩を震わせていた彼女の姿。全てを吐き出すように泣き叫んだ彼女の声。






篤「…っA、」






様子が気になり、ベッド端に突っ伏していた上半身を勢い良く起こすと、丸椅子がぎぃと軋む音をたてる。

窓から薄っすらと差し込む朝日の中に、ぼんやりと空を眺めている横顔が見えた。






「起きた?」






ゆっくりと此方に振り向いた彼女は、泣き腫らしたような瞳をしていた。






「おはよう」






でも重たそうな其の瞼とは裏腹に、彼女の表情は何処か晴れやかで。






「ふっ、よだれの跡ついてる」






俺の口元を指先で拭い、微かに頬を緩ませる。






思わず息を飲んだ。



だって、

其の笑顔を向けられたのはいつ振りだろうか。






” 腫れてる ”となぞられた瞼が心地良い。
ふっ とかかった吐息が温かい。

擽ったいようなこんな気持ちが込み上げるのは、いつ振りだろうか。






「雨、止んだね」






横殴りの雨はいつの間にか止んでいた。

黒く分厚い雨雲の隙間から、一筋の光が覗いている。






「篤人くん、夢見た?」






薄っすらと差し込む朝日に照らされた彼女は、此の世のものとは思えない程に美しくて。

絶望に暮れた其の瞳に、希望に満ちた其の瞳に、俺はただ呆然と見惚れていた。






「私は見たよ。何だか凄く、幸せな夢だった」






彼女が笑う。

つられて俺も、笑った。






篤「多分それ、俺も見た」






横殴りの雨はいつの間にか止んでいた。






どんなに分厚い雲にも必ず切れ間は訪れる。

黒い雨雲から覗く一筋の光は、まるで俺たちを誘う道標みたいだーー

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ぶたさんなの。(プロフ) - 昨日、今日と2日間かけて一気読みしました笑とても素敵な作品で浮気疑惑のところはやられたーって思ったりピアノの話になるたび私も練習しないとと思わされます笑 この作品は私の中で大好きな作品の1つになりました。 (2015年7月31日 23時) (レス) id: fb6db84d89 (このIDを非表示/違反報告)
おりん(プロフ) - laizさん、返信ありがとうございました!!ヒロインと内田さんの楽しそうな笑い声が聞こえてきそうなシーン…嬉しいな〜!幸せそうな二人を見れて一安心…ここでスカルのベビー服!?内田さんもイカついの着てましたね!思い出して笑っちゃいましたよー(笑) (2015年6月16日 1時) (レス) id: 865a51165f (このIDを非表示/違反報告)
aquayu(プロフ) - 更新楽しみにしていました!希望の光が見えた瞬間、涙がとまらなくなったのは、私だけでしょうか?この作品、本当に本当に大好きです。 (2015年6月5日 22時) (レス) id: ff637bb026 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - おりんさん» 絶望の涙で泣き明かした夜だけど、この先に光が待っていそうな涙ですよね。思いっきり泣いて、何かが浄化してくれたらいいな。ちょっと足踏みしていた二人の背中を、「しっかりしてよ」と押してくれたのかもしれませんね^^そうそう、先程メッセージを送信しましたよ〜♪ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - すみれさん» 「大好き」のお言葉、動揺していた心に染み渡りました^^ありがとうございました。少し迷っていましたが、ようやく希望の光がさしてきた二人の世界、これからも変わらず執筆を続けていこうと思います。二人の、いや、三人の明るい未来、見守ってあげて下さい^^ (2015年6月5日 21時) (レス) id: 4d225c15a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2015年2月7日 20時

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